meet again after a long time

 服部と二人、海水浴に出掛けた帰り道。たぶん、電車に乗ってた辺りから。なんか寒いな、とは思っていた。
 長い事海水に浸かってたからかな、と思っていたけど、実際はそうではなくて。

「……38度4分……。夜間診療行こか?」

 がっつり風邪をひいたらしいオレを、服部が体温計を片手に、心配そうな顔して覗き込む。

「いい……一晩寝たら治るだろ」
「けど」
「大丈夫だって。そんな心配すんな」

 片手を伸ばし、服部の頬に触れると、少しだけひんやり冷たい。笑みを向けてみるが、心配そうなその表情が和らぐことはなく。寧ろ、手から熱さが伝わったのか、その表情は深みを増した。

「……薬は?風邪薬か解熱剤」
「あー……いつも博士んトコから貰ってっから無いかも」
「なんでやねん。もー、常備薬くらい置いとけや」

 眉毛をハの字に下げると、体温計をテーブルに置き、服部がソファから立ち上がる。

「取り敢えず、タオル濡らして来るから。このままちょぉ待っとけ」

 言って、リビングを出てゆく背中を目で追い掛けて。一人になって目を瞑った。

 そこから、記憶が無い。

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