はじまりはいつも雨

「オレ、ホントはもっと前からお前のこと知っててさ。いつ気付くかなー、っていつも見てた」
「え?ストーカー?」
「誰がストーカーだ、誰が。いつも図書室に居たつったろ。お前が気付かなかっただけ」


 昇降口を出ると、雨はすっかりあがっていて。太陽の光が雲の切れ間から地上に注ぐ。


「貸し出しカード見たら推理小説ばっか借りてるし、仲良くなれっかなー、って思って」
「なんで推理小説好きだと仲良くなれんねん。同じジャンル好きや言うても、仲良くなれるとは限らへんやないか」
「だってお前、工藤勇作好きだろ?真っ先に全シリーズ借りてたし」
「そうやけど……て、あ!」


 振り返った新一が、に、と笑う。


「工藤勇作はオレの親父。今度紹介してやるよ。オレの嫁候補、って」
「ちょ、待てや。そんな紹介のされ方イヤや!っちゅーか、正気か工藤。アホやろっ」
「オレはいつでも正気だ。ま、楽しみにしとけ」
「楽しみにでけるかっ」


 楽しげに先を歩く新一と、その後ろを困った顔で追いかける平次。その頭上に。
 光のシャワーの中、架かったばかりの虹が、色鮮やかに輝いていた。

[ 56/289 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -