Many happy returns of the day.

 服部は誰かの為に計画を立てるのが好きだ。サービス精神の現れだろう。その辺オレとは正反対。オレは結構ノープランで、その場その場で決めていけばいいかな、のタイプ。旅行に行くとなっても、行く地方だけ決めて、後はその場の雰囲気で行動したりする。
 だから、二人でどこかへ行く時には、リサーチその他は全て服部の役目。

「こっから真っ直ぐ歩いてくと、結構有名な神社があって。そこの茶屋、団子が有名なんやて」
「へー。ちなみに、神社のご利益は?」
「えーと……」

 団子までは調べてたけど、ご利益とか全く見てなかったんだな。非科学的な事、あんま信じてねーモンな。そりゃご利益より食い気だよな。当たり前だけど。

「……縁結び。だけど、メインは子宝……」
「……」

 物凄く縁遠い神社をルートに入れたモンだな、と。呆れるより逆に感心する。

「……ま、ええやん。目的は団子やから」
「そうだな」

 子宝祈願の神社に参拝して、オレ等に子供が出来たら。神様の存在とか、奇跡とか本気で信じてもいいけど。まあ、そんな事は絶対に有り得ないし、別に望んでるワケでもねーし。だか

ら取り敢えずは、オレも非科学的な事はまず信じてない。
 とか言いながら、毎年おみくじは引くし、大吉だったら喜んでたりもするけど。
 人とはホントに自分に都合よく色んなモノを解釈したり、信じたりするモンだ。

「あ。あの鳥居んトコや」
「うわ、すげぇ人」

 結構有名。服部が言った事は本当らしく。鳥居が近付くにつれ、人の数も増えてゆく。
 そして。

「女性ばっか」

 まあ、縁結びと子宝がメインじゃ当然か。
 男性も居ない訳じゃないから、別にオレ達が居ても浮かないけど。何だか恥ずかしくなってくる場所ではある。

「寄るのやめよか?団子やったら、似たの他でも食えるみたいやし」

 オレの言葉に、苦笑いを浮かべながら。シャツの裾を掴んで、オレの歩みを服部が止める。

「別にいいんじゃねーか?せっかく来たんだし」
「そか」

 振り返って答えると、シャツを掴んでいた手を離して。

「ほな行こか」

 何かよく分からないけど。気合いを入れるみたいな、覚悟を決めたみたいな顔で服部が鳥居を潜ったのが面白くて。その後姿を写真に収めた。

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