恋人

「おはよう」
「……はよーさん」

 一晩明けて、まだ引き摺っているその表情は、かなりの無愛想。
 けど、意味が分かれば、その顔さえ可愛く見える。

「今日は何する?」

 微笑んでいる、この顔が気に入らないらしい。
 益々の無愛想。
 そのくせ、オレの分もコーヒーを淹れてくれる。
 結局は、いつだって優しい。

「買い物。明日帰るし、オカンに土産買う」
「りょーかい。今日も、天気いいな」

 開いたカーテン。
 柔らかな日の光が降り注ぐ。



 短気で負けず嫌いで口が悪くて。
 だけど、素直で明るくて優しい。
 例えるならば、今日の太陽。

 そんな、オレの恋人。

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