Happy for you. 1.服部編。

 次の日。

「次はいつ会える?」

 駅まで見送りに着いて来た工藤が。
 名残惜しい、と言わんばかりの目ぇで尋ねてきたから。

「……さあ。分からんわ。ほなな」

 目を逸らしながら答えて。
 さっさと新幹線に乗り込んだ。

 座席について、窓の外を見たら。
 恐ろしく切な気な顔した工藤が居って。
 何度目か分からん溜息。
 その後、席に腰をおろすと同時。
 携帯が震えた。

『そんな悲しそうな顔すんな。すぐに会いに行ってやる』

 開いた画面に表示されたメッセージ。
 悲しそうな顔しとんのはおのれじゃ。

 昨日の夜。
 ずっとオレの頭撫でてた工藤を思い出して。
 がっくりと落ちる肩と頭。

「堪忍してえな……」

 そして動き出す新幹線。
 その窓の外。
 ごっつ笑顔の工藤が、景色と共に流れて行った。





 時間経ったら、少しは冷静に戻って。
 きっと元の工藤に戻る。
 そんなオレの淡い希望は。

 有言実行。
 すぐ会いに来た、工藤によって見事なまでに砕け散る。

 ぐったりしながら席に沈んだそん時のオレは。
 まだ、全然。
 未来を知らない。





 The next story. Side of Kudo.

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