君と僕の日常

 服部は普段物凄い早起きだ。いつも自己朝練やってるからだろうけど。だから、一緒に寝てて朝の寝顔とか寝起きの顔とか。一回も見た事がない。自慢じゃねーけど、オレは朝が弱いんだ。
 しかし。やっぱ入れられるのなんて当然初めてだろうし、その初めてで一気に慣らしから本挿入までされちゃ、そりゃ相当キツかっただろうな。苦しい、やめろ言われてもやめなかったからな、オレ。なんとなく興味本位で買ってたローション大活躍。取り敢えず痛みはなかった筈だ。動きが早いと苦しいみたいだったけど。でもさぁ。勝手に腰動いちゃうし。仕方ねーよな?こればっかりは。

 って事で、今朝はオレの方が早起き。つっても、そんな早いワケじゃない。単に服部が起きれてないだけだ。
 初めて見る朝の寝顔。すやすや平和な顔してる。苦しさで涙出てたからかな?うっすら目じりが赤い。
 そっと指先で撫でて、軽く唇を当てると。

「……んー……」

 ぴくり、まぶたが動いて。寝返ると同時に瞳が開く。

「おはよ」

 掛ける声に。ゆっくり瞳がコチラを向いて。視界にオレが入った途端、恐ろしく嫌そうな顔をした。
 うん、あからさま。目覚め最悪ってトコですか。オレはすっきり最高な目覚めだったけど。実に対照的。

「……あ。いっつ……」

 勢い良く起き上がったワケでもねーのに。上体を起こしきったところで、服部は片手で腰を押さえて頭を垂れた。

「突かれ過ぎて腰にきたか?悪ぃ悪ぃ。マッサージしてやろうか?」

 抜かずの2発。抜いてからの1発で合計3回。これでも一応控えたんだけど。入れる方もけっこー体力使うけど、入れられる方も大変だな。
 摩ってやろうかと、手を伸ばして触れた所で払い除けられて。嫌そうな顔のままの服部がこちらを振り返る。

「要らん。触んな、ケダモノ」

 ケダモノ。ひでぇ。

「辛いんだろ?」
「誰のせいや誰の。ったく……なんでこーなんねん」

 ぶつぶつ文句を言いつつ、のそのそとベッドから降りて。腰が伸びそうになる度、びくっと全体が震えてる。こりゃ相当きてるわ。言ったら殺されそうだけど、腰の悪い爺さんみたいな事になってる。

「……服。着せてやろうか?」

 なんだか可哀想になってきて、かけた言葉も。

「うっさい!だーっとれ!!……っいったーっ」

 一喝。そして勢い良く振り向いたもんだから自滅。
 いや……うん……。なんか……ごめん、服部。

 この後、服を着るだけで15分もかかってた。

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