君と僕の日常
目覚めて。時計を見たらもう10時。やばい、寝過ぎた!
慌てて起きて、もう居なかったらどうしよう、とか思ったけど。
「おはようさん」
リビングに降りたら、普通にコーヒー飲みながらテレビを観てて。これまた普通に挨拶してきたから。
「……おはよう」
なんか気が抜けた。
昨日が昨日だけに、顔合わせ辛いとか、なにから話したらとか。色々あるかと思ったのに。
「見ろや、コレ」
コーヒーを淹れて戻って来ると、服部が自分の頭を指差して見せてきた。目をやると、指先には見事なコブ。
「痛そうだな」
「痛そう、やのうて、痛いんや」
「だろうな」
恨めしそうに見る服部の横を通り抜け、はす向かいに腰を下ろした。
「工藤が遊んでけゆうたから、今日も一日コッチ居るけど」
「うん」
「どこ連れてってくれるんや」
「どこ行きてーんだよ」
「コッチ全然分からんし」
「分からなくても、あれが見たいとか、これが見たいとか。なんかあんだろ」
「そないなことゆわれても……」
コーヒー片手に開く新聞。港で行われるイベントの広告が載ってる。
あー、こーゆーの好きそうだな。
「じゃ、コレ行ってみるか?」
言って、広告が載ってるページを服部に向ける。と。途端明るくなる表情。
こーゆー部分は分かりやすい。
「おもろそうやな。行こ行こ!」
一瞬でコブが消えたワケでもないだろうに。すっかり忘れたみたいに、上機嫌でせっせと出かける準備を始めてる。
その姿を見てたら、なんかちょっと面白かった。
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