君と僕の日常

「なんや呆気なかったなぁ?今回の事件。オレ等必要なかったんとちゃう?」
「そうかもな。まあ、そもそも。オレ等が必要になるような事件なんか、無いに越したこたねーけど」
「確かに」

 思いの外早く片付いた現場を後にして、タクシーをひろう為に、大通りへと続く道を二人で歩く。閑静な住宅街。それほど遅い時間でもないのに、オレ等の他に歩く人影はない。

「しかし、ほんまこないに早く片付くと思ってへんかったなぁ。帰りの新幹線、日時変えてもらわな。まだ窓口開いてるよなぁ?」
「あー?いつのチケットとったんだよ」
「明後日の夕方」
「なんだ。だったら別に、そのままオレん家居て、明日一日コッチで遊んでったらいいじゃねーか」

 いつもなら、オレが言うまでも無くそうしている服部が。帰りを早めようと考えるなんてらしくねえな。思って隣を見ると、並んでた筈の服部の姿が無い。

「……なんだ?どうした?」

 振り返ると、離れた所で立ち止まったまま、なにやら考え込んでる服部の姿が見える。

「服部?」
「あー、すまんすまん。ちと考え事しとった。そやな、工藤のゆう通りにするわ」

 ひらひら片手を舞わせつつ、言って隣に並んだ服部の表情は。いつものように笑ってた。けど。なんかいつもとはちょっと違ってる。
 恐らく、何かを隠してる。けど、それがなんなのか。それはやっぱり、オレには読み取ることはできなくて。なんとなく、問いただす事もできなかった。

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