真夏の夜の夢
連れられるままに走って。
辿り着いたのは、通学路の見える高台。
周りには誰も居ない。
「へー。あそこの小道登ったら、こんな場所に出るのか」
何時も通る道の脇に、こんな場所があるなんて知らなかった。
「ええ眺めやろ。ここやったら、花火もバッチリ見えるで」
服部の言う通り。
7時丁度に始まった花火が。
二人の正面に広がる、夜空のキャンバスに色鮮やかに描かれた。
「きれーやなぁ!」
初めて見る花火に。
服部が感嘆の声を上げて。
花火の光に照らされるその横顔は。
花火のそれに負けない位に輝いていた。
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