真夏の夜の夢

 学生生活は、今この時しか味わえない。
 だから、皆と楽しく過ごしましょう。

 そんなの、正直メンドクサイ。



「待って、工藤。オレも一緒に帰る!」
「あー?」

 バタバタと後ろを着いて来る足音。

「何だよ。お前んち、オレと同じ方向か?」

 振り向いて、追い着くのを待ってやると。

「同じ方向も何も……一緒の家やないかい」
「は?」

 オレの反応に。
 服部は、はぁ、と。
 今日何度目かの大きな溜息を吐いた。

「ホンマに何も覚えてへんのやなぁ。あんなんやこんなんや……色々やって来た仲やのに」
「……あんなこんなって何だよ」

 腕を組み、呆れた声で返すと。
 ちらり、上目にオレを見て。

「人前で言われへんからヒミツ」

 言って。

「なーんてな。ほな、帰ろか」

 ケラケラ笑うと。
 先に階段に向って歩き出す。

 その後を。
 複雑な表情で後に続いた。

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