We were born to meet.

「そー言や、その貝。たぶん、Mother Of Pearlだぜ」

 電車の中で揺られながら。
 砂浜で拾った貝を眺めていた服部が、こちらに上げた視線を向ける。

「Mother Of Pearl?」
「阿古屋貝の事だよ」
「ああ。そうかもわからん」

 言って、窓に向けた貝が。
 太陽の光を反射し、虹色に輝く。

「真実の愛を導いてくれるんだ、って。前に恋愛大好き園子が言ってたぜ」
「し……」

 ぽろり。
 落としかけて。
 服部が、慌てて貝の落下を両手で受け止めた。





 初めて出逢ったその瞬間。
 瞳が合った、その瞬間に。

 君も同じ事を感じたのだと。

 また少し。
 運命を信じたくなった、18の春。

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