We were born to meet.
「そー言や、その貝。たぶん、Mother Of Pearlだぜ」
電車の中で揺られながら。
砂浜で拾った貝を眺めていた服部が、こちらに上げた視線を向ける。
「Mother Of Pearl?」
「阿古屋貝の事だよ」
「ああ。そうかもわからん」
言って、窓に向けた貝が。
太陽の光を反射し、虹色に輝く。
「真実の愛を導いてくれるんだ、って。前に恋愛大好き園子が言ってたぜ」
「し……」
ぽろり。
落としかけて。
服部が、慌てて貝の落下を両手で受け止めた。
初めて出逢ったその瞬間。
瞳が合った、その瞬間に。
君も同じ事を感じたのだと。
また少し。
運命を信じたくなった、18の春。
[ 121/289 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]