We were born to meet.

 あれはまだ、オレが子供の姿だった頃。
 一緒に歩いた街。
 桜を眺めている背中に。

「仲のええ兄弟やねぇ」

 そんな声が届いて。

「やっぱ、周りからは兄弟とかに見えてんだな」

 呟いたら。

「オレにはちゃーんと工藤に見えてんで」

 桜を見上げたまま、服部が呟いて。

「いつも。どんな時でも。どんな姿しとっても。お前はお前。工藤は工藤」

 続けながらしゃがんで。
 伸ばした片手で髪をくしゃり撫でてくる。
 その目は優しくて。
 けれど、対等の者を映す色。
 映しているのが、言葉の通りに工藤新一だと言うのは分かる。

「言葉と行動が合ってねえんだよ」

 照れくさくて、邪魔そうに退けた手。
 その隙間から。
 悪戯っ子の様な笑顔が覗いて。

 どきり。
 心が鳴る音を隠すみたいに。
 ざあ、と。
 風と桜が通り過ぎてった。

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