We were born to meet.

 出逢うべくして出逢う人。
 運命の相手と言うものは。

 初めて出逢ったその瞬間。
 瞳が合った、その瞬間に。

 ああ、この人は……。
 そう思うものだと言うけれど。

 そんなものは迷信だ。
 そう思っていた。

 君に逢うまでは。






 坂道を上りきると、一気に視界が開けて。
 瞳いっぱい、美しい海の青が広がる。

「ええ景色やなぁ」

 隣で感嘆の声を上げる服部。
 その瞳は、海面と同じ位にキラキラしていて。
 表情は、まるで欲しかった玩具を見つけた時の子供のようだ。

「夏なら泳げたんだけどな」
「ははは。泳ぐにはまだちと早いなぁ」

 そのままの顔で振り向いて。
 飛び込んできた笑顔に、少しだけ脳が痺れる。

「早よ行ってみよ」

 伸ばされた手に手首を掴まれて。
 引かれるまま。

 繋がってるのが、手なら良かったのに。

 思いながら。
 ただ黙って、後ろを歩いた。

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