Happy Valentine's Day

 1月の終わり頃から。
 服部の様子がおかしくなった。

 そして今は喧嘩中。
 話をしなくなって結構経つ。

 そもそもの原因は……――。





「あー……すまんけど予定があるねん」
「今日もかよ」
「……ごめんなぁ」

 詫びる言葉が本心なのは、その表情を見てたら分かる。
 けど、予定があるのは、このところ毎日だ。

「その用事、何時に終わるんだよ?お前んち行……」
「あかん、あかんっ。……い、いや……最近、掃除してへんし。きちゃないねん、部屋」

 予定が詰まりだしたのと同時。
 部屋にも入れてくれなくなった。

「……」

 ぜってえ怪しい。
 真っ直ぐに向けた視線を外すのは、何か隠してる証拠以外の何物でもない。

「分かった。じゃ、時間取れるようになったら連絡しろ」
「……おう」

 オレが引き下がると。
 あきらかにほっとした表情で息を吐く。
 分かり易いヤツなだけに、その分かり易さに腹が立つ。

「したら、また明日」

 手を振って背を向けて。
 少し足早に去ってゆく。
 その後を、今日はこっそり追う事にした。

 こういう場合。
 例え後悔するような場面に出くわしたとしても。
 知らないまま、悶々としているよりは百万倍マシ。
 ……な、筈だ。

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