Harmony of December

「こっち来いよ、服部」

 ツリーの下。
 置いたままだったプレゼント、その袋を開けて。
 中から小さな箱を取り出す。

「お前がペアリング失くしたのは、それが必要なくなったからだよ」

 気持ちを。
 態度で、言葉で。
 表せるようになった服部に。
 それらの代りはもう要らない。

「愛し合ってるのはもうよーっく分かってっから。今日からはコッチ」

 リボンを解いて、包装紙を外すと。
 現れるのは純白の小箱。
 蓋を開けば。

「言っとくけど、今回はチェーン用意してねーからな」
「別にええけど余計に失くす気ぃするわ」
「失くすな」

 デザインの微妙に異なるマリッジリングが二つ。
 けれど、完全に別物と言う訳では無くて。
 二つで一つになるように造られた、この世に一セットだけの特注品。
 お互いが、この世で一人だけの特別な相手である証と共に、離れている時も常に一緒にある証明。

「裏のメッセージ、切れとって読まれへん」
「合わせねーと読めないようになってんだよ。ほら、読めるだろ?」

 UN ETERNO AMORE CHENON SI CONSUMA MAI.
 一生終わることのない永遠の愛。

「何でイタリア語。メッセージもフランス語やらドイツ語やら……普通に英語でええやろ」
「落したり見られたりする度に死なれちゃ困るからな」

 笑って。
 服部の手から指輪を取ると。
 そのまま左手を取って、薬指に指輪をはめる。
 そして自分の左手を差し出して。

「今ならまだ断れるけどどーする?」

 そう問うオレに。

「断って死なれても困るわ」

 言って笑って。
 リングをはめた。

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