Harmony of December

「さっむー!」

 乾いた風は、まるで頬に突き刺さるみたいに冷たい。
 両手を擦り合わせ、息を吹きかける。
 その服部の息はくっきり白い。

「手でも繋ぐか?」
「真昼間からアホな事言うなや」
「繋いでポケットに入れてたら分かんねーって」
「あからさまに分かるわ。ちゅーか、ただ繋ぐより性質悪いわボケ」

 差し出した手を、ぺしっと払われ。
 しっし、と片手で追い払うようにする仕草。
 その表情にふと笑んで。

「けど。今が夜で、周りに誰も居なかったらやるだろ、お前」

 言うと。

「そら繋ぐ。その方が温い」

 真顔に戻って、そう答えるもんだから。
 服部の中の分かり易い基準がおかしくて、思わず笑った。

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