Harmony of December
「わ、今年はまた……えらいごっついツリーやな。なんぼしたんや、コレ」
飾りの入った箱をごそごそと漁るオレの背後で。
服部が『うわ』とか『えー……』とか。
意味不明な声を続けてあげる。
「覚えてねえ」
「……覚えてへんてお前な……」
取り敢えず答えて。
取り出したオーナメントを手に振り返ると。
じと、とした目がオレを迎えた。
「去年のツリーもあるのに、なんで新しいの買うてきたんや。無駄遣いばっかしよって」
腕を組みながら文句をたれる様に。
お前は主婦か、とツッコミたくなるものの。
「いいじゃねーか。今年は派手にしたかったんだよ。ほら」
言って、オーナメントを数個。
腕組みを解かせた服部の手に握らせた。
「……今年は?」
飾りつけを始めたオレを振り返り、訊いてくるその問いには答えず。
「これ終わったらケーキ取りに行くんだから、さっさと手伝え」
そちらも見る事をしない様子に、少し不満気な空気が伝わって来て。
だが、服部もそれ以上訊いてくる事はなく。
二人がかりで進めた作業は、予定よりも早いスピードで完成。
コートを渡して、その後はすぐに家を出た。
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