Harmony of December

「わ、今年はまた……えらいごっついツリーやな。なんぼしたんや、コレ」

 飾りの入った箱をごそごそと漁るオレの背後で。
 服部が『うわ』とか『えー……』とか。
 意味不明な声を続けてあげる。

「覚えてねえ」
「……覚えてへんてお前な……」

 取り敢えず答えて。
 取り出したオーナメントを手に振り返ると。
 じと、とした目がオレを迎えた。

「去年のツリーもあるのに、なんで新しいの買うてきたんや。無駄遣いばっかしよって」

 腕を組みながら文句をたれる様に。
 お前は主婦か、とツッコミたくなるものの。

「いいじゃねーか。今年は派手にしたかったんだよ。ほら」

 言って、オーナメントを数個。
 腕組みを解かせた服部の手に握らせた。

「……今年は?」

 飾りつけを始めたオレを振り返り、訊いてくるその問いには答えず。

「これ終わったらケーキ取りに行くんだから、さっさと手伝え」

 そちらも見る事をしない様子に、少し不満気な空気が伝わって来て。
 だが、服部もそれ以上訊いてくる事はなく。
 二人がかりで進めた作業は、予定よりも早いスピードで完成。

 コートを渡して、その後はすぐに家を出た。

[ 133/289 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -