二人の記念日

「……だから。何でお前は毎日居るんだよ」

 次の日。
 目覚めのコーヒーをカップに注いで、そのままリビングへと移動すると。
 朝からまたゲームで遊んでいる、服部と黒羽の背中がそこにはあった。

「そりゃ平次と遊びたいからに決まってんでしょー」
「黒羽。よそ見しとってええんかいな?」
「あー!ずっり!!ちょっ、たんま!!」
「待ったなし」

 今日のゲームは服部も得意なのか、その表情は実に楽し気。
 気分も上々といった感じだ。
 はしゃぐ二人の背中を眺めつつ。

 けどやっぱ、素直に名前で呼べる黒羽がちょっと羨ましいかな……。

 なんて。
 持ってきたコーヒーを啜りながら、工藤が思っていると。

「喉乾いた」

 勝負に勝ったらしい服部が。

「新一。オレにもコーヒー」

 振り向きながら言った言葉に。
 工藤と黒羽が、同時に固まる。

「……。聞こえへんかったんか?オレにもコーヒー」

 ごくり、口に含んだままだったコーヒーを飲み込む音が。
 工藤の耳の奥へと大きく響く。

「……あ、ああ。ちょっと待ってろ」

 カップを置いて、ふらりキッチンへと向かう工藤と。
 何事も無い風な表情の服部を。
 黒羽が交互に眺めて。

「……え……いつから……?」

 呟くと。

「今日から」

 答えた。
 その服部の表情は。

 やはり実に楽し気で。
 気分上々のようだった。

[ 161/289 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -