I can still fall in love with you from my heart

「なぁ、工藤。アレ食お」

 人差し指が指す先、そこにあるたのは一軒のケーキ屋。
 店内に並ぶは見事なまでのSWEETS。
 つまり、見た目で既に甘い。

「……すっげー甘そうだな……」

 オレの記憶の中、あまりコイツが甘いものを食っている景色は無い。
 確かに、出されて嫌な顔をする事は無かったから、嫌いではないんだろうけど。

「どれも美味そうやけど……。なぁ、どれにする?」
「えーと……」

 季節柄か。
 見渡す限り、ピンクの割合が非常に多い。
 そして、周りは当然ながら女子の割合高いめ。

 つーかこの店。
 ターゲットは完全に女子とカップル。
 眩暈が起きそうな程のSWEET空間。

 何だろう。
 こんな空間、知ってる気がする。
 前に服部と見たような……。

 てかおい。
 すっごい浮いてるぞ、オレ等。

「こ、これでいいんじゃねーか?」

 早くこの場を離れたくて、近くにあるケーキを指した。

「みっくすべりぃ?」

 完全なるチョイスミス。

 意外な、と言いたげな瞳がこちらを向く。
 見ないで指したのはバカだった。
 けど、お前にそんな目で見られる覚えはねーよ、と言いたい。
 服部と、こんな店に二人で居る事が既に意外だ。

「おし、ほんならコレにしよ。すんませーん、このミックスベリー2つで」

 告げて。
 向かう先が、レジじゃなくてEAT INなのは何故だ、服部。

「おい……ちょっと……。正気か?お前」
「なにが?」

 にこ、じゃねぇよ。
 こんな時にカワイイ顔してんじゃねぇよ。

 正直、思い切り説教したい。
 そんな心境なのに、何でオレも隣に座っちまってんだよ。
 つーか、何でカップルシートしかねぇんだよ、この店!

「お待たせしましたー」

 こと、と目の前に置かれる皿。
 その上に、艶々と赤の眩しいミックスベリー。
 横にはセットになってるコーヒーが並ぶ。
 去り際、お姉さんがクスリと笑った。

 ……何の罰ゲームだよ、これ……。

「うん、美味い」

 愕然としているオレの隣で。
 科白の通り、美味そうにタルトを食ってる服部。
 その顔はやっぱりカワイイ。

 一瞬、その表情に心が和んだ。

 まぁ。
 状況的に、ホント一瞬だったんだけど。

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