I can still fall in love with you from my heart

 服部の、ドコが好きかと訊かれたら。
 オレはきっと、答えられない。



「工藤。コレとコレ。どっちがええ?」

 右手と左手。
 それぞれに違ったグラス。
 右は装飾が凝っていて、左は超絶シンプル。
 
「あー?オレだったら右」

 装飾と切り込みが光を反射して。
 これからのシーズン、見た目に涼しくて良さそうだと右を指差す。
 すると。

「ふーん……」

 言いながら、しげしげと差されたグラスを眺める表情。
 正直、同意しているようには全く見えない。

 自分で聞いといて、何だその反応。

「工藤はチャラチャラしたモン好きやな」

 呟いて。
 グラスをどちらも棚に戻し、スタスタと歩き出す。

「おい。買うんじゃねーのかよ」

 戻されたグラスをちらり見ながら、さっさと先を行く背中を追う。

「えー?グラスは何ぼでもあるし、別にさらの要らんやろ」

 じゃあ何で聞いたんだよ。

 ひらり舞う片手を見ながら、やれやれと深い溜息を吐く。
 コイツは、たまにこーゆー意味不明な行動を取るから困るんだ。
 真面目に反応すればこうだし、適当に反応すれば怒るし。
 何がしたいのかさっぱり分からない。

 事が起きている、その瞬間には。

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