XOXO

食事に向かった場所で、既にアレ?と、工藤は思ってはいた。
だがまさか本当に、その後この場所に服部が向かうとは。
普段の彼からは、あまり想像出来る場所ではない。

「南側と北側、工藤はどっちのがええ?」

目の前に広がる、360度の煌びやかな夜景。
ただいまの場所は空中庭園。

「オレは南側のが派手で好きやな」

振り向いた瞳が、ライトを映して滲むように輝く。
ただでさえ、カップルの多いこの場所。
雰囲気に呑まれそうだと言うのに。
何を考えているんだ、と。
工藤は軽い眩暈に目頭を押さえた。

「どないしてん。頭痛いんか?」

追い討ちをかけるように、極間近から覗き込んで来る瞳を。
お前のせいだろ。
工藤は思いながら横目に見て。

「……いや、問題ない。っつーか、折角の夜景、来たばっかで申し訳ないんだけどさ……。どっか、もっと静かな所で休まねぇ?」

またエロい事考えとったな。
言われるかと思いながら言ってみるが。

「ほんなら、少し早いけど部屋行って休もか」

すんなり返った言葉と、服部が取り出したキーに。
工藤の瞳が、驚いたように見開かれた。

「え……」
「チェックインは工藤が来る前に済ませとるから、すぐに部屋行けんで。何か買うてくモンあるか?」

工藤の様子に、ふ、と意味あり気な笑みを見せて。
コレ、誰。
思いながら惚けている工藤を置き去りに。
服部はさっさと歩き始める。

「ちょ、ちょっと待てって……!」

追い付いて、隣から覗き込んだ顔はやはりとても楽し気で。
普段と違う服部に、ペースを乱され捲りの工藤は。
また少しだけ、眩暈を感じた気がした。

[ 193/289 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -