XOXO

「めっちゃ楽しみにしとるわ、工藤君」

先月。
帰り際に言われた言葉。
バレンタインのチョコと、プラスetc……。
貰った3倍を期待する、と言われても。
正直、何を贈ればいいのか、さっぱり分からない。

「普段の3倍愛してやる、なんて言ったら。やっぱ蹴られるんだよな」

自分が得なだけやろ!!
言われる言葉も、空耳で聞こえて来そうだ。

「どうすっかな……」

バレンタインより落ち着いた、ホワイトデー商戦の街並みの中。
ショーウィンドウを眺めては溜息を吐く。

相手が女子なら。
クッキー、キャンディー、アクセサリー。
夜景の綺麗なレストラン……。
幾らでも思い付くのだが。

「どれも喜ばねーよなぁ」

甘いモノは苦手。
アクセサリーは着けない。
食う事は好きだけど、ムードとか全く興味無し。
どれも、喜ぶ顔が浮かばなかった。

「どうすっかな……」

2度目の科白と小さな息が工藤から漏れた。

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