Addicted To You

「せっかく大阪まで会いに来て、出来たのおやすみのキスだけとか。なんて清い交際だよ。あー、ビックリする」
「しゃーないやろ。タイミング悪過ぎなんや、お前が」

あの後、帰って来ない予定だった平蔵さんまで帰って来て。
話し相手に呼ばれて、終わったらすっかり夜中。
何をする事もなく一日は終わった。

「欲求不満で倒れたらどーしてくれんだよ」
「知るか」

 実際問題。
 遠距離で、頻繁に会える訳じゃない。
 オレも服部も、特別淡白な訳じゃないし。
 常に、欲求不満っちゃ欲求不満ではあるんだけど。

 呆れ口調で答える服部を、横目にじとり見て。
 徐に伸ばした片腕を、首に廻して引き寄せる。

「なんやねん」

 服部が逃げようとするのを許さず、腕に力を入れて更に引き寄せて。
 近付いた耳元に、小声で呟いた。

「お前、Skype使えるよな」
「使えるけど?」
「じゃあさ……――」

 告げた言葉に、服部が一瞬固まって。
 次の瞬間には思い切り頭を殴られた。

「アホかおのれはっ!誰がそんなんするかっ!!」
「……ってぇ……。いいと思うんだけどなー……ある意味リアルで」
「もう、バカやろお前。脳みそいっぺんお医者さんで診てもらえ。絶対湧いとる」

 軽蔑するような眼差しで言い放ち、さっさと歩き出した服部の背中を、頭を摩り

ながらに追い掛けて。

「なぁ。やっぱ東京の大学にする気になんねーの?オレん家住めば、家賃も要らな

いだろ」

 もう何度目かの科白を言ってみたけど。
 服部は何も答えてはくれなかった。

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