「んっ、ああ…あ」
プライドも身体もずたずたに引き裂かれ、心身ともに、完膚なきまでに打ちのめされたあの日。
あのおぞましい『狩り』の日から、二週間が経った。
以降、二日と開けずに、かつての親衛隊員に嬲られ続ける日々が続いている。
葛西、大東、北見…そして、南。
一人だけの時もあれば、複数の時もある。いずれも俺の意思は尊重されず、一方的に快楽を貪られるだけの情交だ。
そして今晩もまた、かつての親友の手によって、俺は身体を暴き立てられていた。
「辰巳様…!」
南の律動が激しくなり、擦られる内側から、強引に快感の極みへと追い立てられる。
「いや…あ、あああっ!」
俺は首を振り立て、南の身体から逃れようとする。
快楽など、感じたくはない。
こんな情交とも言えないような暴行で、かつて親友と慕った相手からは。
「んっ…」
それでも行為に慣れたこの身体は、俺の抵抗をあざ笑うように、快感を形にして吐き出した。
同時に南もまた絶頂を極め、脱力した身体が俺の上へと覆いかぶさる。
二人分の荒い吐息が、音のない寝室に静かに響く。
南は静かに身を起こし、顔を背ける俺に、義務的な声で問うた。
「辰巳様。まだ、北斗様に従う気にはなれませんか?」
「…死んでもごめんだ」
毎夜、行為後に繰り返される確認作業。
この行為が何のために行われているか、誰の手によって支配されているかを、俺に突きつけるための問い。
反吐が出そうなほど陰湿な、北斗の鎖だ。
「脚を開いてください」
「…始末くらい、自分でできる」
「…満足に立つことすらできないのに?」
寝台から降りようとしてよろめいた俺を抱きとめ、南が眉をひそめる。
「食事はちゃんと摂られていますか? 睡眠も、足りていないのでは。以前より、少しお痩せになったようだ」
「…は! どの口で、殊勝に俺の身を案じて見せる?」
まるで心から俺の身を心配するよう言葉に、カッとなって南の手を振り払う。
「お前が…お前達が、俺を裏切ったくせに! あんなことがあった後で、平然と、食って、寝ていられるわけがないだろう!!
「…そうですね」
責める俺から目を伏せると、南は俺の身体を寝台に横たえ、脚の間に指を刺し込んだ。
「んんっ!!」
「俺を憎んでください、辰巳様。憎んで、憎んで…けして許さないでください。あなたの命が尽きる最後の瞬間も、俺を忘れないでいるくらい…俺を、憎んでください。俺は、それだけのことをしたのだから」
「ふ、う、うー…!!」
中をぐちゃぐちゃに掻き回しながら、まるで懇願するように南は言う。
「…憎んでやる…」
請うような声が癇に障り、ひきつれる喉で俺は叫んだ。
「俺は、俺を裏切ったお前を、絶対に許さない…!」
俺を裏切り、北斗を選んだお前を許さない。
そう言えば、南は悲しげに、だが、どこか嬉しそうに微笑んだ。
何故、笑う…?
いぶかしむ俺の意識は、南の指に翻弄され、暗い闇の中へと溶けていった。