「は、はなせ…やめ!」

 制止の言葉が途切れる。
 瀬崎が、俺を抑える腕とは反対の手で、乳首に触れてきたのだ。

「い、あっ!」

 爪の先で押し潰すように刺激したかと思えば、指ではさんで捻ってくる。
 ぐにぐに捩じって弄び、ぎゅうと引っ張り抓られる。
 敏感な皮膚に与えられる予測のつかない動きに翻弄され、俺の思考はかき乱された。

「ひあっ?!」

 胸への刺激に首っ丈になっていた身体から、そんな素っ頓狂な声が出たのは、会陰部に唐突に、ひんやりと冷たさを感じたからだ。
 目を向けると、橋立がローションのボトルの中身をぼとぼとと垂らしていた。
 性器の下から尻の割れ目に沿って、なすりつけるように液体を塗りつけてくる。

「や、やめ…」

 逃げ腰になって身をよじるが、脚をしっかり抱えられてしまい、身もだえることすらできなくなった。
 そうして守るもののなくなった穴は、橋立の眼前にむなしく曝されてしまう。

「ひっ!」

 無防備なそこにローション塗れの指が触れ、中に潜り込もうと圧力をかけてきた。

 このままでは、本当に犯される!

 危機感を抱いた俺は、椅子に腰かけ傍観していた桂月に声をかけた。

「桂月、悪かったって!! ごめん、謝るから!! 謝るから、止めさせてくれ!!」

 こうなれば、謝り倒して許しを請うほかない。
 幸い、桂月は俺に甘過ぎるほど甘い。
 今回だって、ちょっと脅してやれば懲りるだろうとか、そんな魂胆のはず。
 だから、誠意をこめて謝れば…

「やぁだ」

 天使の微笑みを浮かべ、桂月は俺を一蹴した。

「桂月!!」
「続けて、希、元」

 無情な命令に、入口を圧していた指が、俺の中へと潜り込んできた。

「うあああっ!」

 太くて節くればった指が、俺の処女地を無残に踏み荒らしてゆく。
 これ以上は侵させまいと、強張った筋肉が侵入者を締め付けるが、武骨な指はささやかな抵抗をものともせず、ついに全てを征服してしまった。



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