「随分、寂しくなってしまいましたね」

 副隊長の葛木がぽつりとそう呟いた。
 週に一度行われる、親衛隊の報告会。
 放課後の空き教室で行われた会に参加した隊員の数は、以前の半数にも満たないものだった。

「スクリーニングになったと思えばいい。真に王雅様を思う者だけが残れば、それでいい」
「…そう、ですね。少数精鋭で行きましょう」

 無理に笑みを浮かべる葛木に、俺は救われた心地になった。
 まだ王雅様を愛してくれる人間は、ここにいる。
 彼等がいるうちは、まだ大丈夫だ。
 笑い合っていた葛木が、ふと真剣な顔になり口を開いた。

「そういえば、ご存じでしょうか。隊を抜けた者らが、吉峯帝人に嫌がらせをしているとの報告が上がっています」
「…ああ、知っている」
「お聞きおよびでしたか。彼等を放置してよろしいのですか?」
「隊を出てしまえば、俺と彼等は一生徒として対等だ。彼らの行動を咎める権限はない」
「そうでしょうけど…」
「もちろん、王雅様に害が及ぶ場合は別だ。その時は、かつての仲間であろうと容赦しない」
「…彼等なら大丈夫でしょう。吉峯に嫌がらせをするのは、王雅様に愛情を抱いているからでしょうしね。それよりも気になるのは、吉峯に目をかけている、親衛隊持ちの生徒らのことです。吉峯を手に入れるため、王雅様に危害を加えないとも限らない。生徒会の皆様方は大丈夫でしょうが、その他の生徒らについては保証の限りではありません。彼等の親衛隊に、不穏な動きが見られます」

 葛木の言葉に、背筋がひやりとするのを感じた。
 王雅様が、傷付けられるかもしれない。
 そんなこと、万が一にもあってはならない。そんなことは許されないのだ!

「…分かった。王雅様の身辺警護により一層、力を入れることにしよう」
「はい。護衛と見回りのローテーション、再考してみます」
「頼んだぞ、葛木。俺は王雅様にご注意を促してくる」
「お願いします」

 ああ、こんな時、もっと駒があれば…!
 隊員数が半減してしまったことが、こんな危機を招くなど思いもよらなかった。
 全ては俺の失態だ。

「王雅様…!」

 どうか、ご無事で…!


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