「あっ…もう、無理…」

 俺は、もう何度目かも分からない絶頂を迎えた。
 あれからも瀬崎と橋立に代わる代わる犯され、体力も気力も限界に達していた。

「ふふ…大分薄くなっちゃったね。ほとんど水みたい」

 俺のものの先から滴る液を手に取り、桂月が検分する。

「そうだね…希、元。もういいよ、お疲れ様」
「あ…」

 瀬崎のものが中からずるりと抜け落ちる感覚に、俺は身を震わせた。

 何時間にもわたって三人のものを咥えさせられたそこは、麻痺したかのように感覚を失っていた。
 手錠を外されて、恐る恐る後ろに手をやると、未だ熱を孕むそこは、弱弱しく指を絞めつけてきた。
 よかった、まだ使い物になるようだ。人間の身体は、結構頑丈にできている。

「これで少しは懲りたかな?周君。もう浮気はしちゃ駄目だよ。もし、また浮気したら、もっとひどいことしちゃうからね」
「しないっ!! 絶対、しないから!!」

 もう二度と、金輪際、死んでも、浮気なんてしない。絶対しない。天地神明にかけてしない。頼まれたってするものか!
 身体に刷り込まれた恐怖と苦痛と、終わりの見えない快楽地獄。
 あんな体験、二度としたくない。

 がくぶると震えながら俺は誓った。

「ふふ、いい子だね。お行儀よくしてれば、可愛がってあげるよ」
「桂月…」

 頭を撫でられ、涙が出る。あんなに酷くされたあとで、こういう優しい扱いは、犯則だと思う。

「桂月…桂月っ!!」
「かわいい…周君、大好きだよ。君が抱いていいのは僕だけ。分かってるね?」
「桂月だけ! 俺が好きなのは、桂月だけだから」
「そう、僕だけだ。君の雄の部分を知るのは、僕だけ」

 抱きつく俺にの額に、優しい口付けが落とされる。

「桂月…」
「大丈夫だよ、後ろに欲しくなったらまた、希と元に抱かせてあげるからね。周君の乱れる姿、すごく素敵だったよ。また楽しもう?」
「え…」

 それまで静かに控えていた下僕二人が、存在を主張するかのように、一歩踏み出た。


「かわいいかわいい周君。君の全ては、僕のもの」


 恋人の激しすぎる愛情表現に、俺は背筋を凍らせた。
 どうやら俺の苦難は、始まったばかり、のようだ…

「愛してるよ、周君」
「…俺も、だけど…桂月ぃいい…!!」

 それでもこの恋人から離れようと思わないあたり、俺も大概…なのかもしれない。



【End】


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