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5 夜の終わらせ方




日付がわからなくなりました。私はどのくらいこの暗い部屋から出てないか、分かりません。季節はいつなのか、何日なのか。ジェームズはもう、学校を卒業したんでしょうか。
昨日の晩、おじさんに瓶で頭を殴られて、血が出ました。とても痛かったけど、たぶんそのうち治ると思います。毛布にくるまっていても、すごく寒い。やっぱり、冬なんでしょうか。

「ーーー!!」

すごく久しぶりの、安心する声が、聞こえた気がしました。





目が覚めると私はちゃんと服を着ていて、綺麗な、明かりに照らされた部屋にいました。

「目が覚めた!?ジェームズ!パッドフット!早く来て!!」

女の人の声が聞こえて、バタバタと走る音も聞こえました。懐かしい顔が、二つ。すっかり大人の男の人になった、ジェームズとシリウスでした。二人とも辛そうな顔をしていて、シリウスは私の体を起こしてぎゅっと私を抱き締めました。暖かい体と、さらさらした髪と、力強い腕が心地よくて、私の目から、お母さんが死んだときも出なかった暖かい水が流れました。

ジェームズの後ろには、赤い髪の、綺麗な女の人がいました。ジェームズはリリーだ、と紹介しました。リリーというのは、ジェームズがずっと言っていた、あの、片想いの女の子の名前です。ジェームズとリリーは七年生になってから付き合い始めたらしいです。でも、それを書いた手紙は私に届かなかったそうです。ジェームズとシリウスは返事の来なくなった私をずっと心配していて、学校を卒業してから、夏中探し回ってくれていたそうです。そしてやっと見つけたときには、私は死にかけだったそうです。ふと、頭を触ると、傷は見当たりませんでした。これも魔法だそうです。すごい。
私はどうやら1年近く閉じ込められていたらしく、歩くこともままなりませんでした。リリーはそんな私を辛抱強く世話してくれて、お風呂に入ったりするのを手伝ってくれたり、料理を教えてくれたりしました。

「来るところがないなら、僕たちの家で、家政婦をやらないか?暖かいご飯と、お風呂と、寝床、それに、友人付きで。」

ジェームズとリリーの邪魔をしちゃ悪い、という私に、ジェームズたちはクスクス笑い、シリウスのほうが邪魔だ、と言いました。こんな素敵な人たちと学校でずっと一緒にいれたなんて、とても羨ましい。
何故か涙が止まらなくて、私は渇いて死んでしまうんじゃないかと思いました。









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