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8 戸惑うことなく全てを捨てた





ハロウィンの夜、シリウスが家に帰ってきました。すごく青ざめた顔をしています。

「フィリー…ジェームズとリリーが殺された。今すぐ行かないと、あいつは逃げちまう…お前たちはきっと、ダンブルドアが守ってくれる。絶対帰ってくるから、待っててくれ…。」
シリウスは私とアクイラのおでこにキスをして、すぐに家を出ていきました。急いで外へ出ても、既にシリウスの姿はありません。何が起こったのか、さっぱり分かりません。ジェームズたちが殺された?誰を追わなきゃいけないの。でも、魔法界のことを何も知らない私には、どうすることもできなくて。ダンブルドアが来るまで、待つしかできなさそうです。

しかし、シリウスがいなくなって数日後、私の元へやってきたのはダンブルドアではなく、リーマスでした。リーマスは、ジェームズの学生時代の親友のうちの一人です。私も結婚式のときを含めて、何回か会いに来ました。かれはダンブルドアに頼まれてここに来たらしく、私と、アクイラを見て、難しい顔をしました。

「……シリウスに妻子がいるなんて、聞いてなかったな。……あのね、フィリー。落ち着いて聞いてほしいんだけど」

リーマスは、ハロウィンの夜から、この数日に起こったことをゆっくりと話してくれました。リーマスは話ながら、すごく悲しい顔をするので、座っている彼の頭を撫でてあげました。シリウスたちと同い年なのに白髪混じりのその髪は、おじさんみたいでした。

「……悲しくないのかい?」

リーマスの目から、静かに涙が流れました。私の頬も、冷たいものが伝わっていきます。




『フィリー、見てくれよ。君のために持ってきてあげたよ!』
『フィリー、君は素敵な子だね』
『僕が初めての友達?光栄だな!』
『フィリー、元気でね。僕?僕は言われなくてもいつでも元気さ』
『フィリー、僕は君の親友だ』



『フィリー、小さい頃のジェームズについて教えてくれる?代わりに、学校でのあいつのこと教えてあげるわ』
『うーん、愛してるの意味?難しいわね…でも、私たちはお互いを必要としてるの』
『フィリー、私たち、きっともう、親友ね』




『お前がフィリーか?ジェームズから聞いてる』
『その、これやるよ。お前が、本読むの好きって聞いて…』
『フィリー、すぐに駆けつけられなくて、ごめんな…』
『愛してる、フィリー』










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