堀さんと仙石君って良い感じだよね〜。付き合ってるのぉ?なんて猫なで声で聞いてきた馬鹿女は誰だっけ。確か名乗ってたけど覚えてない。違うクラスの子だって事くらいしか知らない。別に、今更誰でも良いんだけど。

そう内心で毒づいてみたって、状況は変わってくれない。当たり前ね。そもそも、タイミングが悪かった。


放課後にユキと綾崎さんと河野さんと生徒会室で待ち合わせしていて、ユキと綾崎さんは補習、河野さんは掃除当番。一番乗りで私が生徒会室に着いたら仙石が居た、生徒会長なんだから当たり前なんだけど。あんな話を聞いた直後だった私はつい、いつものように突っ掛かった。


「多分あの子あんたが好きなんだわ、仙石なんかの何処が良いのか…馬鹿みたい」「…京ちゃんそれさあ、俺に言う?」「仙石と良い感じだなんて言われてイライラしてんのよ」「…俺も困るし、そんな勘違い。レミがいるのに」




「…私にも宮村がいるし、もし誰とも付き合って無くてもあんただけは無いっつーの」


苦し紛れにポツリ、と呟いた。
嗚呼、馬鹿みたいなのは私。机に項垂れて、仙石を視界に入れないようにする。きっと、綾崎さんはこんな事絶対言わない。私、可愛くない。仙石に彼女が出来たと知った時、どうせ直ぐに愛想をつかされて終わりよ…と自分に言い聞かせていた頃が懐かしい。結局、私の予想は呆気なく外れて、私と仙石は幼馴染み以上にも以下にもなり得なかった。


「俺だって、京ちゃんだけは女として見れないし」


知ってるわよ、そんな事。

私の中で何かが弾けた。ガタッと大きな音を立てて立ち上がる。椅子がひっくり返った気がするけどそんな事は気にしていられない。もうこんな話題に興味はないと言うような様子で携帯を触る仙石の肩を掴んで、触れるだけのキスを、一瞬。


「泣き虫でヘタレなあんたなんか、こっちから願い下げよ」


呆然と私を見つめる仙石を睨み付けて、生徒会室を逃げるように後にする。やっぱり私は可愛くない。




二つの舌が同じ嘘ばかりつく

京ちゃんの泣きそうな顔、何年ぶりに見たっけ。そう思った時にはもう幼馴染みを追い掛ける為駆け出していた。

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