「今日もいい天気だな〜」
甲板の掃除を終え、なまえは「ん〜」と伸びをした。
「あれ?」
伸びをしたまま、船のへりに目をやると、何やらごそごそと動いている人影が見える。
そっと近付いてみるとそこには、
「ナ〜ギ!」
釣竿に餌を仕掛けるナギの姿があった。
「釣り?じゃあ晩ご飯は魚だね?」
「船長のリクエストだ。」
そういって竿をふる。
放たれた針は綺麗な弧を描いて水面へと吸い込まれた。
その隣りに腰掛け、足を投げ出す。
先の掃除で汗ばんだ肌を撫でる風が気持ち良くて目を閉じた。
「気持ちいいね。」
「そうだな。」
…
…
…
何を話す訳でもない。でもこの沈黙も全然苦でない。
ただ隣りにナギがいてくれるという安心感に包まれて、ふわふわと心地良い雰囲気に浸っていると次第に瞼が重くなってきて…
「おい、寝るなよ。」
「〜わかってるよ。」
瞼を通して見える光が赤くて、うっすらと目を開けた。
円い夕日が半分程沈んだ水平線が縦に見える。
ゆ…うひ?
たて?
「…起きたか?」
「え?」
声がした方に目をやると、ちょうどナギを真下から見上げる形で目が合った。
そして自分の頭の下にはナギの足があって…
「えぇ!!!」
ごん!
頭に鈍い痛みと衝撃。
「…お前、急に起き上がるなよ…」
「ごごごごめんなさい!」
赤くなった顎を擦りながらじとりとナギに睨まれたが、そんなことを気にしていられる程冷静ではなかった。
「え、な、なにがどう…え?!」
まさかナギの膝枕で爆睡していたなんて、恥ずかしすぎて心臓が爆発しそうな勢いだった。
「勝手に転がってきたのはお前だ…」
大混乱のなまえとは反対に冷静なナギは、少し呆れたように肩をおとすと釣り道具を片付けだした。
自らナギの膝に乗っかっていったのか…
「穴があったら入りたいです…」
「別に今更だろ。」
いつも一緒に寝てんだから。
そう言って、ナギは釣り道具を担ぎ、船内へと歩き出す。
「…確かにそうだけど、」
それとこれとは話が別っていうか…
はたり、
そこで気が付く。
普段ではとっくに夕食の準備にとりかかってる時間なのに…
(もしかして、起きるまで待っててくれた…?)
ううん、きっとそうだ。
胸の中にじんわりと温かいものが広がった。
「やっぱり、ナギは優しいな。」振り向いたナギはふわりと控え目に笑って…
「…お前は特別。」
「…っ!」
『綻ぶ』という喩えが当てはまるような笑顔に、なまえは電気が全身を駆け巡ったかのような感覚にその場に立ち尽くすしかできなかった。
(…そんな顔、するんだ…)
いまだに動けずにただただナギの後ろ姿を見つめる。
「おいなまえ、行くぞ。」
前を行くナギに呼ばれ、弾かれたように慌てて駆け寄る。
「お前も手伝え。飯の時間推してるからな。」
自然と絡まされる手。
「…うんっ!」
(やっぱりこの人が好きだ…)
確実に赤いであろう顔は夕陽に隠された。
またひとつ君を知った
(私、もっとナギの事知りたい)
(…、お前それって)
(私ナギマスターになる!)
(……そうか)
7000hitでリクエスト頂いたゆり様に捧げます!!
甘…くできたでしょうか((;゜Д゜)ガクガク
ナギが偽者ぽくてスイマセン!!
リクエストありがとうございました!!!
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