《HAYATE side》








お前に声をかけた時、まさかこんな事になるなんて思いもしなかった。











それは巷で噂になっていた幽霊船。


なんでも、元は海賊船で略奪した宝をたんまりと積んだまま、行方知らずになったらしい。

多くの者が、その幽霊船を探しに海原に繰り出したが、戻ってきた者はひとりもいなかった。




その噂を聞いた船長が「面白そうだ」と、さっそく幽霊船の捜索を始めた。




極寒の地を抜け、
灼熱の地を越え、
荒れ狂う海域を潜り抜け、


とうとうそれは俺達の前に現れた。



中は腐敗が激しく、慎重に進まなければ崩れてしまいそうな程脆かった。





ひやりとした空気がまとわりついて、ぞくりと背筋が粟立つ。




そんな中、辿り着いた最奥の部屋。

















噂通り金銀財宝はあった。



あったのだが…


俺は、煌めく宝の山ではなく、その更に奥に見えるものに、目が釘付けになった。








そこには―…






「………女?」



透き通るような白い肌をした女が座り込み、驚いたように目をしばたたかせていた。





「なんで、こんな所に…」


状況がイマイチ理解できないでいると、女が口を開いた。




「貴方…私が見えるの…?」












「…………は?」




状況だけでなく女の言った言葉もすぐには理解できなくて、間の抜けた言葉が口から漏れた。




とその時、ギシギシと嫌な音をたてて床が崩れ始める。

どうやら船が限界に達したようだ。


他の奴らは避難し始め、俺にも逃げろと叫んでいる。


その声に我に帰った俺は、咄嗟に女に手を差し出した。


「くそっ!逃げるぞ!」


差し出した俺の手に、女が恐る恐る手を伸ばす。













これが、俺達の出会い。






|→









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -