ペテン師の恋人。



蒼子さんからのリクエストです。
リク内容
◎赤也受けも出してほしい
◎赤也と誰かがデートしてるときに、
仁王と岳人を見かけて仁王の意外な一面を目撃
とのことでした。
赤也のお相手は幸村さんにしました。
なので、幸赤が友情出演しております。
というか幸赤視点で話が進みます(笑)
岳人受け以外は見たくないって方はご注意を。
それでは、おっけーな方はどうぞ!

*******



「幸村ぶちょー、次あれ!あれ乗りたいッス!」
「分かった分かった。走るんじゃないよ赤也」

今日は、日曜日。
立海大附属中テニス部の幸村精市と切原赤也は
部活が休みなのを利用して遊園地に来ていた。
ちなみにふたりは清い(?)お付き合い中。
久々のデートにはしゃぐ赤也は、幸村の手を引いて
いろんなアトラクションを行ったり来たりしていた。

「赤也、楽しい?」
「はいッス!すげー楽しいっすよ!部長は?」
「俺も楽しいよ。赤也がよく笑ってるからね」

綺麗な顔で微笑む幸村のその言葉に
赤也は、ぽっと顔を赤くした。
思わず見とれてしまいそうになったが、
それをごまかすように周囲をキョロキョロ見渡した。

「え、えっと…あっ!あれ」

赤也が指差した方向を見ると、
ソフトクリームの屋台があった。

「ソフトクリーム食べたいの?」

頬を染めながらこくこくと頷く赤也の頭を撫でてから、
ふたりは屋台の方へと歩き始めた。


「ん?」
「どうしたんすか、幸村部長」

もう少しで屋台に辿り着くところで足を止めた幸村を
赤也は不思議そうに見上げた。

「あそこに居るのってさ」
「え?…あっ」

今まさにお金を払ってソフトクリームを受け取る人物は
後ろを向いているため顔こそ見えないが、
その立ち姿は見覚えのありすぎるものだった。

――銀色の髪を束ねた、少し猫背のその人物は。

「ああーっ!?に、仁王せんぱ…むぐっ」

指を差して叫ぼうとする赤也の口を塞いだ幸村は、
サッと近くの物陰に隠れた。

「部長、なんで隠れるんすか?仁王先輩ッスよあれっ」
「しーっ!誰かと一緒みたいだよ」

幸村に促されてそっと覗いてみると、
仁王の隣に誰か立っているようだった。
こちらも後ろを向いているため顔が見えないが、
髪が肩くらいまであって小柄な人物だということは分かった。

「遊園地にふたりでいるってことは…さては彼女だね」
「えぇっ!仁王先輩に彼女なんて初耳ッスよ!?」

仁王が自分自身のことを語るなんてことは滅多にないため
知らないことがあっても不思議ではないが、
それにしても彼女がいるだなんて。
赤也が驚きで固まっている間に、
仁王とその彼女らしき人物は屋台を離れて行った。

人の恋路なんて、邪魔するもんじゃない。
詐欺師にだって恋人が居て恋愛するのも自由だ。
ここは見なかったことにして、自分達もデートに戻ろう。

…などと、ふたりが考えるはずもなく。

「ふふ。面白いね、ついて行こうか」
「さっすが部長!そうこなくっちゃ!」

心底おもしろそうに笑う幸村と赤也は、
いたずら心満開で仁王たちを尾行することにしたのだった。



「あ、ベンチに座るみたいッスよ」
「よし。隠れよう」

まるで探偵にでもなった気分で、
幸村と赤也はノリノリで仁王たちについて行く。
ベンチにふたりが腰を下ろしたのを確認して、
後ろからこっそり近づき草むらに隠れた。

「………、…」

こちらに背を向ける仁王と彼女(?)は
何かを話しているようだが、会話の内容までは聞こえない。

「もう少し近づいてみようか」

幸村は、大胆にもベンチに一番近い木の影まで
赤也を連れて行き一緒に身を隠した。
赤也は幸村に買ってもらったソフトクリームを
ぺろぺろなめながらふたりをじっと見つめる。

「顔が見えないッスよ〜」
「静かに。なんか喋ってるよ」

口の前に人差し指を立てた幸村に習って慌てて口を紡ぐ。
ふたりの会話に耳を傾けた。


「…美味いんか?それは」
「うん、すっげーうまいぜ!」
「ほんとにお前さんは幸せそうに食べるんじゃな」
「だってうまいもん食ってると幸せじゃん!」

……あれ?
幸村と赤也はその会話に首を傾げた。
彼女と会話してるはずなのに、聞こえるのは男の声。
話し方も完全に男のものだった。

「…もしかして彼女とかじゃなくて、
ただの友達じゃないんすかね?」
「でもあの仁王だよ?友達とふたりでわざわざ
遊園地で遊んだりするタイプじゃないと思うけど」

疑問をもちながらも、ふたりは
もうしばらく観察を続けることにした。

「仁王も食う?」
「いや、向日が食べたらええ」

――向日…。
どっかで聞いたことあるような。

「そうか?こんなにうまいのに」
「じゃあ少しだけもらうぜよ」
「おう。はい」
「そっちやなくて…こっちじゃ」
「…っ!?」

幸村と赤也は目を疑った。
仁王が、隣に座る人物の口元についたらしい
ソフトクリームをぺろりと舐めたからだ。

「な…ちょっ、バカ!」

だが、仁王に口元を舐められて焦ったその人物が
思わずベンチから立ち上がった姿を見て更に驚いた。

「!?幸村部長…あれって」
「確か、氷帝の向日岳人だね」

仁王と一緒に居たのは、以外にも
氷帝学園の向日岳人だった。
全く接点のなさそうなふたりが一緒に居ることも驚いたが、
友達同士には決して見えないさっきの行為に
幸村と赤也はただ見守るしかなかった。
こちらには気づいていない様子の岳人は、
真っ赤な顔で仁王を睨み付けている。

「何すんだよいきなりッ」
「向日がくれるって言うたんじゃろ」
「お、俺はソフトクリームのこと言ったの!」

恥ずかしさを隠すために、岳人は
ツンとそっぽを向いてしまった。

「向日、怒ったんか?」
「ったりめーだろバカっ!誰かに見られたらどーすんだよ!」

どうやらご立腹のようだ。
すると、仁王はゆっくりと立ち上がり
そっぽを向く岳人を後ろからぎゅっと抱き締めた。

「!?は、離しっ、」
「嫌じゃったか?」
「えっ…だ、だから」
「許してくれるまで離さんぜよ」

耳元で囁くと、岳人の顔はさらに真っ赤になった。

「誰かに見られたら…」
「見せつければええ」
「や…っ」

ちゅ、と耳にキスをひとつ落とすと、
岳人の体がびくりと跳ねた。

「お姫様の機嫌はまだ直らんのかの」
「わ…わかっ、わかった!許すからッ」

じたばた暴れる岳人の体を自分の方へ向かせる。
思ったよりも仁王が至近距離にいて、
岳人はびっくりして大人しくなった。

「…可愛ええの」
「……」

そっと頬を撫でられて、おそるおそる仁王を見上げると
ゆっくりと顔が近づけられたが、
今度は抵抗せずにぎゅっと目を閉じた。

――ちゅ。

触れるだけのキスを落として、
仁王は優しく岳人の体を抱き締めた。


「ゆ、幸村部長っ!何するんすか、見えないッスよー!」
「赤也は見なくていいの」
「やだ!俺も見たいッス!」
「ダメ。赤也はお子さまだから見ちゃいけません」

一連の流れを観察していた幸村は、
途中から赤也の両目を塞いでいたため
赤也は何が起こったのかが分からなかった。
ようやく幸村に解放された頃には、
仁王と岳人の体も離れたところだった。

「あ、移動するみたいだよ。行こう赤也」
「もー部長!」

楽しそうに追跡を続ける幸村の後ろを
赤也は慌ててついて行った。



その後もいくつかのアトラクションに乗る
仁王と岳人を尾行していたふたりだったが、
仁王の普段見せない表情に驚くばかりだった。

なんというか、表情が柔らかいのだ。
ポーカーフェイスなのは変わらないのだが、
いつも一匹狼で何を考えているか分からない仁王が
誰かと楽しそうに居るのが本当に以外だった。
岳人が相手だということにももちろん驚いたが、
幸村や赤也にとっては仁王の以外な側面を
見てしまった衝撃の方が大きかった。

「…にしても、仁王先輩も普通に恋人とデートするんすね」
「ふふ、面白いとこ見ちゃったよね」

幸村が仁王と岳人の並んで歩く姿を写メに撮っている。
あーその写真あとで送ってくださいよ、と言いながら
赤也はポップコーンを頬張った。
飽きっぽい赤也は、そろそろ尾行に飽きてきたらしい。

「暗くなってきたね」
「そっすね、もう5時半ッス」
「明日も朝練があるしそろそろ帰ろう」
「えーっ!まだやだっ」
「ふふ。じゃあ、最後にひとつ何か乗ろうか」

幸村に頭をぽんぽんと撫でられて、
うーんと考え込んだ赤也は、
あっ!とひらめいたように目を輝かせて言った。

「じゃー観覧車がいい!」
「観覧車?」
「はいッス!だって、」
「だって、なに?」
「…こ、こいびとっぽい、から」

照れたようにはにかむ赤也を
幸村は愛しそうに見つめた。



「…あ、仁王たちも乗るみたいだね」
「ほんとだ。へへっ、すぐ後ろに乗っちゃいましょうよ!」

さっきまで尾行に飽きていたくせに、
また楽しくなった赤也は幸村の手を引いて
たたたっと走り出した。

仁王たちのすぐ後ろに並んだ幸村と赤也は、
落ちていた新聞紙で顔を隠しながら聞き耳を立てる。

「わーでっけぇなぁ、日本で一番でかい観覧車なんだってさ!」
「向日は高いところ好きじゃろ?」
「うん!すげー好き」

にぱっと嬉しそうに笑う岳人に、
仁王も少しフッと笑みをこぼした。
部活をしているときに見せる
詐欺師のようなそれではなく、年相応の自然な表情だった。

「…っくしゅん!」

ぴゅうっと吹いた秋風に身を震わせ
小さなくしゃみをした岳人を見た仁王は、
自分の上着を脱ぐと岳人の肩にかけた。

「い、いいって仁王」
「風邪引いたらどうするんじゃ」
「でも…お前が寒いじゃん」
「気にせんでええ。着ときんしゃい」

そう言って岳人の肩を抱き寄せると、
しばらく固まってしまった岳人だったが
やがて甘えるように仁王に身を寄せた。

「…なんか、すげーラブラブっすね」
「見てるこっちが恥ずかしいよね」

コート上の詐欺師である仁王が
恋人に自分の上着をかけてあげる姿なんて、
誰が想像できただろうか。
まるで彼のダブルスの相方のような紳士っぷりだ。

「…これ乗ったら帰らなきゃだな」

ポツリとそう溢した岳人を、仁王はじっと見つめた。
岳人がうつむいているため表情は見えない。

「寂しいんか?」
「べ、別にっ」

サラサラのおかっぱに指を通すと、
岳人はゆっくりと顔を上げた。

「また来たらええ」
「…立海は休み少なすぎんだよ」
「そうじゃな。なかなか氷帝との予定が合わんしの」
「しばらくは会うの無理っぽいな」
「そうでもないぜよ」
「え?」
「幸村に頼めば休みの日を作ってくれるはずじゃ」
「ばーか。そんなに甘くねーだろ幸村は」
「いや…今日はこんだけ人をネタに楽しんだんじゃ。
ひとつくらい頼みを聞いてくれてもええじゃろ。

のう…幸村、赤也」


――ぎくっ。

突然自分たちの名前を呼ばれて、
ふたりは肩を跳ねさせた。

「隠れても無駄じゃ」
「あっ!?」

ひょい、と新聞紙を取り上げられて
幸村と赤也はあっさりと見つかった。
岳人は心底驚いた顔をしている。

「…ふふ、バレちゃった?」
「あはは…仁王先輩ちーっす」

笑ってごまかそうとする幸村と赤也を、
仁王はいつものポーカーフェイスで見つめた。

「何をやっとるんじゃお前さんたちは」
「偶然、仁王たちのこと見かけてね。
おもしろそうだなーって思ってついてきちゃった」
「仁王先輩、いつから俺たちのこと気づいてたんすかぁ?」
「バカ。最初からじゃ」

仁王にデコピンされた赤也は、いてーっと言いながら
幸村の後ろにサッと隠れた。

「なーんだ。気づかないフリして、
逆に俺たちがペテンにかけられてたわけだ。
それにしても見せつけてくれるよね」

幸村が呆れたように仁王と岳人を交互に見ると、
岳人は今日1日の自分たちの行動を思い出し
ぽっと頬を染めて目を逸らした。

「ねー向日さん、仁王先輩のどこが好きなんすか?」
「は!?なんだよいきなりっ」
「だってー。仁王先輩って何考えてるか分かんないし、
いっつもひとりでどっか行って遊んでくれねぇし。
どこ好きになったのかなって気になったんすよ」
「…言ってくれるのう、赤也」
「いててッ」

ほっぺたをつねってくる仁王に
赤也は慌ててすんませんすんませんと謝った。
そんな赤也を、岳人は不思議そうに見つめている。

「何考えてるか分からないって…
こいつほど分かりやすい奴も珍しいだろ」
「…えぇ?」
「それに、ひとりでどっか行くどころか
四六時中くっついてきてうぜぇくらいじゃん」
「うざいは言い過ぎじゃろ」
「うっせ!お前は場所くらい考えろっつーの」

幸村と赤也は、ぽかんとした顔でふたりを見つめた。
あの仁王を分かりやすい奴呼ばわり。
それに、岳人といるときは四六時中くっついてるだなんて。

「…向日さんってすげぇ」
「だね」

毎日部活で顔を合わせている自分たちですら
謎が多い仁王の扱いには困ったりするというのに、
岳人の前ではどんな顔をしているのだろうか。
ふと仁王の方を見ると、居心地が悪そうに
頬をかいて幸村たちから視線を逸らした。

「「……」」

そんな仁王を見て、幸村と赤也は互いに顔を見合わし
やがて堪えきれなくなってプッと吹き出した。

「あははははっ!」
「おい、なに笑っとるんじゃ」
「だって、仁王先輩かわいっ、あははは!」

笑いだすと止まらないといったように、
幸村と赤也は腹を抱えてしばらく笑い続けた。
仁王は恨めしそうにふたりを睨み付ける。

「ふふっ、ごめんね仁王。あまりにも意外だったからさ。
向日もすまなかったね、デートの邪魔して」
「別にいいけど。な、仁王」
「……おー」


――コート上の詐欺師…か。
誰が最初にそう呼んだのかは知らないが、
俺たちは知らない間にその肩書きに
彼を重ねすぎていたのかもしれない。
仁王だって、俺たちと同じ。
普通に恋だってするし、恋人の前では素直になる。

初めて本当の仁王を見た気がして、
幸村と赤也は嬉しいと感じた。
ただ、仁王をこんな風にさせる岳人は本当にすごい。

「デートの邪魔しちゃったし、おわびに
今日のことは内緒にしといてあげるよ。ね、赤也」
「そっすね!末長くおしあわせにッス」
「ただ、俺たちのラブラブっぷりにはまだまだ及ばないけどね」
「わ…ちょっ、部長!」

突然うしろからぎゅうっと幸村に抱き締められて、
赤也はじたばた暴れながら顔を赤らめた。

ふふ、と笑いながら見せつけるように
赤也を腕の中に閉じ込めて
幸村は仁王と岳人の方を見た。
挑戦的な瞳に見つめられた岳人は、
恥ずかしそうに目を逸らして黙り込む。
仁王はしばらくの間、無言だったが
やがてニヤリと不敵な笑みを見せてから
岳人の手をぐっと引いて体を抱き寄せた。

「ちょ、にお…っ!?」

岳人が反抗するよりも先に、
仁王は岳人の唇を自分のそれで塞いだ。

「んー…っ」

さっき幸村たちから取り上げた新聞紙で
幸村と赤也以外には見えないように自分たちの顔を隠し、
仁王は口付けを深くしていく。

「ん、ふ…っ」

岳人の頭を抱き寄せて、もう片方の手で
抵抗しようとする岳人の手を束ねて
好きなように岳人の口内を貪った。

幸村は、呆然とその様子を見ていたが、
仁王と岳人の唇の隙間から舌が覗いたのを見て
ハッと我に返った。そしてすぐに、
腕の中の赤也が仁王たちの行為を凝視したまま
真っ赤になって固まってしまっているのに気づいて
慌てて赤也の目を塞いだ。

「…ふぁ…っ」

岳人が苦しそうな声を出したのを聞いて、
仁王はようやく唇をゆっくり離した。

「は、はぁ…っ」
「………」

自分の胸に顔を埋めて肩で息をする岳人の頭を撫でて、
仁王は幸村の方を見て笑った。
それはいつもの、詐欺師の笑みで。

「…仁王。よくもうちの赤也に
卑猥なもの見せてくれたね。五感奪うよ」
「邪魔されたお返しじゃ」

いつの間にか観覧車に乗る順番がまわってきたらしく、
べっ、と舌を出してから仁王は観覧車に乗り込んだ。
我に返った岳人は、真っ赤になって恥ずかしそうに
幸村たちの方も見ずに慌てて仁王について行ってしまった。

「…大丈夫?赤也」
「………」

未だに固まっている赤也を見て
幸村は、はぁ、と小さく溜め息を吐いた。
詐欺師にしてやられた。まったく、覚えてろよ。
――まあ、今日のところは許してやるか。
意外な一面も見れたことだし、面白かったしね。

幸村は、赤也の手を引いて
次にまわってきた観覧車のゴンドラに乗り込んだのだった。


後日、やっぱりしてやられたことが悔しい幸村が
仁王の腹筋メニューを増やして仕返しをしたのは、
また別のお話。




◎おまけ


「もーなに考えてんだテメェは!!」
「ピヨッ」
「ピヨッ、じゃねーよ!」

観覧車に乗ったはいいが、岳人はカンカンに怒っていた。

「何をそんなに怒っとるんじゃ」
「人前であんなことされて怒らねー方がおかしいだろ!」
「まあまあ落ち着きんしゃい。景色が綺麗ぜよ」
「はぐらかすなっつーのッ」
「はぐらかしとらん、ほんまじゃ。ほれ」
「…っ!」

急にぐいっと腕を引かれ、抱き寄せられる。
また文句を言おうとした岳人は、
仁王の肩越しに見える景色に息を飲んだ。

「……」
「綺麗じゃろ」
「…う、ん」

それはそれは、怒っていることなんか忘れるくらい
とても綺麗な夜景だった。
ふたりはしばらく抱き合いながらその景色を楽しんだ。

「…なあ」
「ん、」
「幸村たちが言ってた…いつものお前って、どんなの?」
「どんなのと言われてもな。意識して変えとるつもりは無い」
「ふーん」
「自分でもよぉ分からん」

ゆっくりと顔を上げた岳人は、じっと仁王を見つめる。
仁王も、腕の中の岳人を見つめ返した。
すると岳人は、おかしそうにふわりと笑った。


「ま、お前はお前か!」


――その可愛らしくも優しい笑顔に、一瞬、釘付けになって。
白い頬に、触れるだけのキスを落とした。




おわり


*******


初の仁岳、やっと完成しましたー。
蒼子さんお待たせして申し訳ありません;
楽しいリクエストありがとうございました!
幸赤はゲスト出演のはずが相当しゃしゃってます(笑)
ごめんなさい。書くの楽しかったもんで。
もはや仁岳の話なのか幸赤の話なのか
よくわかりません自分でも。(え)

今回は、あえて仁王と岳人の心情の描写はしませんでした。
仁王の気持ちとか岳人の気持ちとか、
そういうのはまた違うお話で書こうかと思います。
今回はあくまでも第3者から見ての仁岳です。
本人たちに語らせるとまた違ったお話になるかもしれません。

なんか、仁岳は読んだことはあっても
書くのは初めてなので勝手が分からず
ふわふわした感じになってしまいました(笑)
勉強不足ですね。がんばります。

けど書いてて楽しかったです!
岳人受けと赤也受けの共演はずっと
やりたいなと思ってたのでいい機会になりました*
蒼子さん、ほんとにありがとうございます。
これからもよろしくお願いします♪

2012.11.20

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