ひなたぼっこ




「あー!ジローみっけた!!」

ぽかぽかしてあたたかい昼下がり、ジローが昼寝するなら
絶対にここだと思ったけどビンゴだ。
人があまり来ない裏庭の、いちばん日が当たる芝生の上。
ジローはひとり仰向けになり眠っていた。

今日は昼休みにレギュラー全員でミーティングがあるって
跡部があんだけ言ってたのに。
くそくそ、絶対聞いてなかっただろジローのやつ!

「おいジロー、起きろっての!」
「………ん…」

体をゆすって起こそうとしても、
ちょっとやそっとじゃ起きるやつじゃない。

「ジローってば!ミーティング始まっちまうだろ!」
「んー…あと2時間だけぇ…」
「なげぇよ!!そこは5分だろ普通!」

声をかけただけじゃジローは起きないことは
ずっと昔から知ってることだ。
だてに幼馴染みやってるわけじゃねぇ。

「起ーきーろーっ!」

寝転がるジローの隣に腰を下ろし、ジローの体を起こそうと
何度も肩に手をかけ持ち上げるが上手くいかない。
ジローのやつ、今日は一段としぶとい。

「ジローいい加減に起き…うわあ!」

ジローを起こそうと必死に奮闘していると、
今まで寝ていたジローが急に目を開けて腰に抱きついてきた。

「…がっくん…いいにおい」
「おいジロー、寝ぼけてんじゃねぇっ」

ぽかっ、と軽く頭を叩いてもジローは離れない。

「がっくんも一緒に、ひなたぼっこしよ?」
「はあっ!?ばかジロー、跡部が呼んでるっつの!」
「やだ。がっくんとひなたぼっこする」
「お前なあ…」

やだ、と言いながらジローは俺の膝を枕にして
また目を閉じてしまった。
ジローのマイペースはいつになっても変わらない。
ジローのやつ、まじでミーティング行く気ねぇなこりゃ。

「俺まで跡部に怒られるっつーの…大体お前、
ミーティングするって話聞いてなかっただろ」
「んー?ミーティングのことなら知ってたCぃ〜」
「…お前、ただのサボりじゃん」
「うんー。だってさ、」

ジローは眠そうな表情を変えずに呟いた。


「寝てたら、がっくんが起こしに来てくれるかなぁー…って」


俺の目をまっすぐ見て言うジローに、
一瞬言葉を返せなかった。
眠そうに、だけど今まで見たことないような
すごく真剣な目をしてたから。

なんてことない、普通の言葉なのに。
いつもなら「バーカ」って言って流すのに
なぜか今はそれができなくて。
ジローの真剣な目を見ていたら逸らすことが出来ず、
俺が何も言えずに焦っていると、ジローが急に吹き出した。

「あははっ!がっくん可愛いー、顔赤いCぃ」
「なっ!うるせえくそくそジローッ!」

からかわれたんだと気づき、恥ずかしくなって
ジローの頭を膝から落とした。

「いてっ!がっくんひどE〜…」
「うっせー!せっかく起こしに来てやったのに
俺で遊びやがって!あほあほジロー!」
「あはは、ごめんごめん」

ジローはおかしそうにケラケラ笑うと、
また芝生の上に仰向けになった。

「おいっジロー」
「がっくんも、ここおいで?」

自分の隣をぽんぽんと叩くジロー。

「ほら、すげー良い天気だCぃ」

能天気に、にかっと笑うジローを見て
つられて俺も笑ってしまった。

「お前マイペースすぎんだよ」
「文句言いつつ一緒に寝てくれるのが、がっくんだC」
「俺じゃなくて樺地だったら問答無用で連行じゃん」
「今日は、がっくんが来てくれる気がした〜」
「ばーか」

ジローの隣に寝転がり目を閉じる。
あたたかくて心地いいのは、春の日差しのせいだけだろうか。

「あったけー…」
「うん」

寝ぼすけでマイペースだけど、とてもあたたかい
大好きな友達との優しい時間。


ちょっとだけ、時間が進むのが遅くなればいいのに、
なんて思った昼下がり。

昼休みが終わり、2人して跡部にこっぴどく怒られたのは
また別のおはなし―――。




*******

えー、はい。記念すべき初のジロ岳でした。
文章書くのは難しいですね。

ジロ岳ってのは、めちゃくちゃ可愛いと思います(笑)
だいすきなCPなのです。

ジロちゃんは、いつも岳人が起こしに来てくれるのを
待ちながら寝てるんだとしたら
なんかすごい可愛いと思って書きました。

今回はジロ岳っていうかジロ→岳ですね。
岳人が起こしに来てくれるのが嬉しくて
ミーティングさぼってまで寝るジロちゃんと、
ぎゃーぎゃー文句言いながらもジローに甘い岳人が好き。

岳人のこと大好きだけど、一歩踏み出せないジロちゃんと
ジローの側にいるとあったかい気持ちになる理由が
まだわからない岳人が書きたかったんです。

ジロ岳、もっと増えろー!!

2012.03.18

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