Trick or Treat !




今日は、たのしいたのしいハロウィン。

立海大附属中テニス部の2年生エース、切原赤也くんは
お菓子をもらうためにわくわくと
3年生の先輩たちを探し回っています。



◎幸村部長のケース

「幸村ぶちょー!!」
「やあ赤也、どうしたんだい?楽しそうだね」
「とりっくおあとりーと!」
「ん?」
「今日はハロウィンっすよー!」
「そういえばそうだったね。赤也はお菓子が欲しいんだ」
「はいッス!お菓子くれないとイタズラしちゃうっすよ?」
「それは嬉しいな」
「へ?」
「俺、お菓子持ってないんだよね」
「え…でもさっき、カバンの中にチョコが」
「残念だなぁ、お菓子を持ってたら
イタズラなんかされずに済むのになぁ」
「ぶ…部長?なんでそんなに笑顔なんすか」
「ふふ。どんなイタズラしてくれるんだい?赤也」
「…!お、俺やっぱお腹いっぱいだから」
「こらこら逃げないの。たっぷりイタズラしてあげる」
「ちょ、逆ッスよ!なんで部長がイタズラするんすか!」
「それにしても赤也。ハロウィンなんだし、
お菓子をねだるなら猫耳くらいつけたらどうなの?
全くなってないね」
「嫌ッスよそんなの!」
「赤也?俺に逆らう気なのかな」
「だ…だって」
「ふふ。部長命令だよ」
「待っ、猫耳はやだやだっ…ぎゃああああ!」



◎真田副部長のケース

「はぁ、はぁ…やっと逃げ出せたぜ。
あ、副部長がいる!ふくぶちょーうっ」
「赤也!廊下を走るな!!」
「ひっ」
「お前という奴は。何度言えば分かるのだ」
「す…すんません」
「それで、何の用だ」
「……(言いづらい)」
「言いたいことは、はっきり言わんかーッ!」
「わあっごめんなさいいい!と、とりっくおあとりーと!」
「何ぃ!?とりっくおあとりーとだと!?」
「ごめんなさいごめんなさい!やっぱいいッス!」
「仕方がない、これを持っていかんか!」
「え?和菓子…しかも手作り?」
「今日は『はろうぃん』だと蓮二に教えられたのでな。
なんでも、とりっくおあとりーと、と言われたら
菓子を渡さねばバチが当たる日らしいのだ」
「いやちょっと違うッス」
「お前も気を付けろ赤也。ではな」
「待っ、ふくぶちょー!!…行っちゃった」
「どうした、赤也」
「あ、柳さん!副部長がお菓子くれたんす。驚きッスよね」
「ああ…俺がハロウィンのことを教えてから
お菓子を作る練習をこっそりしていたようだな」
「副部長にお菓子作りって似合わなさすぎ…」
「そう言うな。赤也がお菓子を欲しがるだろうと俺が教えた。
お前のために作ったものなのだろう」
「……ふーん…(きゅん)」


◎柳さんのケース

「柳さん、とりっく…」
「Trick or Treat. と、お前は言う」
「わーさすがッス!」
「ほら、お前の好きなお菓子だ」
「柳さんだいすき!!(ぎゅう)」
「いたずらされては困るからな。
赤也の好きなお菓子はデータで把握済みだ」
「柳さんはすごいッス!」
「何故だ?」
「だって、俺の欲しいものとか、俺が考えてることとか
いっつも簡単に当てちゃうんすもん」
「それはそうだろう。お前を見ているんだから」
「へ?」
「気になる奴を見ていたら自然とそいつのことが分かるものだ」
「!き…気になるって、」
「どうした?先輩が後輩のことを気にかけるのがおかしいか?」
「な、なんだ…そういう意味か」
「フ…他にどういう意味があるんだ?赤也」
「あっ、からかったッスね!ひどいっす!」
「お前は見ていて本当に飽きない」
「もー!……でも、」
「なんだ?」
「じゃあ俺はいっつも柳さんのこと見てるのに、
柳さんの考えてること分かんないのはどうしてだろ」
「………………」
「?柳さん?」
「…いや、なんでもない」
「そっすか」
「……さらっと凄いことを言ったことに気づいていないようだな」
「?」
「独り言だ、気にするな」
「ふーん」
「(データ通りの行動をする単純な奴だと思えば
予測できないことを突然言い出したりする…)」
「これおいしいッス!」
「お前は本当に幸せそうに食べるな」
「だって柳さんにもらったお菓子だし。
それに柳さんの隣に居ると、なんでか分かんねーけど
すげー落ち着いて癒されるッス」
「そうか。なら、ずっと居るといい」
「え?」
「お前が飽きるまで、隣に居るといい」
「あはは、そんなこと言っちゃっていいんすかぁ?
きっと飽きるなんてことありえないから、
ほんとに一生居るかもしれないっすよ」
「俺はそれでも構わない」
「…またからかってるッスね」
「さあ、どうだろうな。試してみるか?」
「……うん」



◎丸井先輩のケース

「丸井先輩、発見ッス!」
「お、赤也か」
「先輩!とりっくおあとりー…」
「おい赤也、お菓子よこせ。トリックオアトリート」
「ええっ!?俺が先に言おうとしたのにー」
「うるせー言ったもん勝ちだろぃ、よこせ。腹へってんだよ」
「俺がもらうつもりだったんだから持ってないッスよ!」
「あ?」
「あ?じゃないッス!どんだけ欲しいんすか」
「定期的に甘いもん食わねぇとダメなんだよ」
「買って来たらいいじゃないッスか」
「ハロウィンだぜ?人からもらうのがいーんだろぃ」
「とにかく俺、持ってないッスもん!」
「…じゃあ代わりにお前を食べる」
「はあー!?ななななに言ってんすかっ!嫌ッス」
「お菓子持ってねぇんだから何されても
文句言えねぇはずだよなぁ。俺って天才的?」
「天才っつーか馬鹿ッスよ!」
「先輩に馬鹿とは良い度胸してんじゃねーか」
「ていうか、女子からいっぱいもらってたじゃん!」
「あんなんとっくに食っちまったっつーの」
「お菓子を食う日ッスよ!俺じゃないっす!」
「お菓子よりお前のが甘いんだよ」
「…ちょ、こっち来ないでくださいよ」
「問答無用」
「ひっ…ジャッカル先輩たすけ、」
「いただきまーす」
「ぎゃあああ!!!」



◎柳生先輩のケース

「はあ…酷い目に合った。あ、柳生先輩だ。
柳生せんぱーい!!」
「おや、切原くん。廊下は走ってはいけませんよ」
「はーい!それより先輩、今日なんの日か知ってるッスか?」
「今日は世間で言うハロウィンですね」
「そッス、だからお菓子ください!とりっくおあとりーと!」
「切原くん。行事を楽しむことは良いことですが、
きちんとハロウィンのことを知っていますか?」
「ハロウィンのこと?」
「ええ。その行事の概要や歴史を正しく理解することで
よりいっそう楽しむことが出来るというものです。
切原くんはハロウィンについてどれくらい知っているんでしょう」
「え…えっと」
「ハロウィンとは、ヨーロッパを起源とする民族行事で
西ヨーロッパ古代のペイガニズムにもとづく
死者の祭および収穫祭、とりわけケルト人の行う
サウィン祭に由来していると言われています」
「よーろっぱ?さ、さうぃん…?」
「ええ。しかし日本ではそのような宗教的背景の上で
開催している例は全くと言ってもいいほど無く、
クリスマスと同様、あくまで楽しむためのイベントとして
娯楽化、商業化されたものであり…」
「わ、わーっ!!もういいッス!分かったッス」
「そうですか?まあ切原くんもこれを期に、
世界の行事について勉強してみるのもいいでしょう。
向上心、探求心を忘れてはいけませんよ」
「はーい…じゃ、俺はこれで(逃げよう)」
「待ちたまえ」
「へ?」
「さっき私にTrick or Treat. と言ったでしょう?
発音は全くなっていませんでしたが」
「言ったッスけど…」
「ならば祭のルールとして私は切原くんに
お菓子をあげなくてはいけませんね。
これを持って行きたまえ」
「ええっ、ケーキだぁ!いいんすか!?」
「もちろん。美味しいらしいですよ」
「やったー!ありがとっす柳生先輩っ」
「いえ。喜んでいただけてよかった」
「へへ!来月のお返し楽しみにしといてくださいねー!
じゃあさよならッス!」
「ってそれはホワイトデーでしょう切原くん…
やれやれ、行ってしまいましたか。
やはりまだまだ勉強が足りないようですね」



◎ジャッカル先輩のケース

「あ、ジャッカル先輩だ。
ジャッカルー!とりっくおあ…」
「ああ、赤也か……」
「どうしたんすか?なんか幸薄そうッスよ」
「ブン太に大量のお菓子を奢らされたんだよ」
「ま、まじっすか」
「ハロウィンなんて…なくなっちまえばいい(遠い目)」
「いやそんな、」
「見ろよ俺の財布。残り2円だ…」
「………(かける言葉が見つかんねぇ)」
「大体、誰だよハロウィンなんて考えた奴は」
「…ねージャッカル先輩!」
「なんだ?」
「これあげるッス!」
「これは…ケーキか?」
「そッス!実はさっきもらったもんなんすけどね」
「いや、お前がもらったんだからお前が食べたらいい」
「俺があげたいんだから、あげるんすよ!
ジャッカル先輩だって、遠慮しないでたまには誰かから
お菓子もらったっていいじゃないッスか。
今日は、みんながお菓子もらっていい日だもん」
「赤也…」
「それに俺…」
「なんだ?」
「先輩に、ハロウィンのこと嫌いになってほしくないんす」
「…………」
「ハロウィンは、おいしいお菓子いっぱい食べて
おいしいなーって笑う楽しい日だから。
だからジャッカル先輩にケーキあげるッス」
「……赤也…すまねぇな」
「はい!つか、すげー美味しいらしいんすよこれ!
今すぐ食べてください。はい、あーん」
「…(ぱくっ)……うん、すげー美味いな」
「へへっ。来年も、ハロウィン楽しみッスね!」
「ああ。ありがとな、赤也」



◎仁王先輩のケース

「仁王先輩いねぇなー」
「どうしました?切原くん」
「あ、柳生先輩!仁王先輩どこに居るか知りません?」
「さぁ…またどこか放浪しているんでしょう」
「んーお菓子もらおうと思ったのに。あ、そうだ」
「どうしました?」
「さっき柳生先輩がくれたケーキ、
ジャッカル先輩にあげちゃったんす。
せっかくくれたのに、すんません」
「…ケーキ…なんのことです?」
「え?いや、さっき柳生先輩が俺にくれた、」
「そんなことをした覚えはありませんが。
第一、今日は切原くんに会ったのはこれが初めてです」
「じゃ…じゃあ、まさか」
「やれやれ。どうやら仁王くんですね。
また私に変装してからかったんでしょう」
「やられたーッ!!」
「切原くんは騙されやすいですからね、
仁王くんにとって絶好のターゲットなんでしょう」
「くそー!」
「それよりも、ジャッカルくんは大丈夫でしょうか」
「えっ」
「仁王くんからもらったケーキなど
何が入っているか分かりませんよ。
後からお腹を壊すかもしれませんね」
「…………」
「もしくは、笑いキノコが入っているかもしれません」
「げ…どうしよう」
「これは、私に変装している仁王くんを見つけ出して
きつく御灸を据えるしかなさそうですね。
恐らくまだ変装は解いていないでしょう」
「許さねー!俺、探してくるッス!」
「はい、お気をつけて」
「行ってくるッスー!!(たたたっ)」
「…………プリッ」





おわり(え)


*******


山なし、オチなし、意味なし。
ごめんなさい。

最後の分かりましたか?
仁王先輩が柳生先輩に変装して
赤也を騙した、と見せかけて
実は最初に出てきた柳生先輩が本物です。
赤也は、仁王先輩に二重に騙されたっていう。
分かりにくいですねすみません(笑)
巻き添えをくらった柳生先輩、かわいそうです。

なんか、ハロウィンとっくに過ぎたのに
衝動的に書いてしまいました。
個人的にはジャッカルのが気に入ってます。
ジャッカルは幸せになってほしい。笑

ていうか、幸村部長とブン太のオチw
適当に書きすぎました。

読んでくださってありがとうございました*

2012.11.11

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -