酔っぱらいラバー




リクエスト第十二段!
レイラさんから、
◎白石が炭酸なとで酔っぱらう設定
◎普段の優しい白石からドSになり赤也にせまる
◎ブラック幸村とバトルなど
というとっても楽しいリクをいただきました*
それでは、どうぞ!


*******




此処、U-17の合宿所では、
強くなるために日々過酷な練習が行われており
参加者たちはテニスに明け暮れる毎日を過ごしている。

しかし今日は、珍しく練習が早い時間に終わり
コーチ陣たちの配慮により中学生たちは
夕方から自由時間が与えられることになったのだった。



「よっしゃー!自由時間ッスよ!何して遊びます!?」

そんな貴重な自由時間を喜ぶ
立海2年生レギュラー、切原赤也。
厳しい練習の後だと言うのに
目を輝かせてはしゃいでいる。

「遊ぶって…せっかく早く終わったんだから
甘いもん食ってゆっくりしてぇんだけど」
「なに言ってんすか丸井先輩!もったいないッスよ!」
「ふふ。赤也は元気だね」
「はいッス!幸村部長も一緒に遊びましょー!」
「んー、赤也のお願いなら仕方がないな」
「やった!先輩たちみんなッスよ!」
「……しゃーねぇなあ(断ったら、幸村くんに怒られる…)」
「遊ぶなど、たるんどる!」
「いいじゃない真田、どうせ暇でしょ?(魔王の目)」
「!!!う…」
「…拒否権は無さそうですね」
「だな」
「赤也なにして遊びたいんじゃ?」
「う〜ん、そうだなぁー」

はしゃぐ赤也に、立海3年生レギュラーは全員
強制的に付き合わされることになったようだ。
とは言っても、呆れたフリをしながらも
にこにこ話す赤也を見て全員頬が弛んでいる。
皆もれなく、ご覧のとおり
この切原赤也が可愛くて仕方がないのだ。



「自由時間やて〜!!たこ焼きパーティや〜〜!」
「金ちゃん、此処たこ焼きなんて無かよ」
「えー、嫌や!たこ焼き無くてもパーティしたい〜っ」
「ほな謙也の部屋でしよか」
「俺の部屋かいな」
「ジュース買って行こぉ〜ん☆」
「あっ、小春!俺も買う!財前も行くで」
「パーティて…めんどくさいんすけど」


立海メンバーが赤也を中心に騒いでいると、
向こうの方からさらに賑やかな集団がやってきた。
四天宝寺レギュラーたちである。

「あっ、白石さん!」
「切原クンやん。こんばんは」
「こ…こんばんはッス」

さっきまではしゃぎまくっていたかと思えば、
その集団の中に白石の姿を見つけた途端、
赤也は急におとなしくなった。

「練習はよ終わったなぁ。今日はどうやった?」
「えっと…今日は、コーチにも動き良くなったって誉められてっ」
「そうなんや。頑張ってるもんな、切原クン」

優しく笑いながら赤也の頭を撫でる白石と、
うつむいて頬を染めながら頷く赤也。
憧れの、大好きな白石に誉められた赤也は
緊張して照れながらも嬉しそうな表情をしている。

その様子を、立海メンバーたちは
面白くなさそうに眺めていた。
可愛い可愛い赤也は最近、
白石とダブルスを組んでからずっと
白石になつきっぱなしなのだ。
そりゃもう、すごいなつきっぷりで。
笑顔を保とうとしても目が笑っていない幸村の大きな舌打ちに
立海メンバーは八つ当たりされまいと幸村からそっと離れた。


「切原クン、今からの自由時間なにする予定なん?」
「あ…えっと、今先輩たちと何するか相談してて」
「ほな、今から俺ら謙也の部屋で集まって
適当にわいわいやろ思てんねんけどよかったら来ぇへん?」
「えっ…けど、せっかく四天宝寺の人たちで盛り上がるとこなのに」
「切原、そんなん気にせんでええて」
「せやせや〜!おいでや切原〜っ」

白石に続き、謙也と金太郎が赤也を歓迎している。
四天宝寺メンバーもまた、この合宿で仲良くなった
赤也のことを気に入っていた。


「なーに言ってんだ白石。赤也は俺らと遊ぶんだよぃ」
「あ、先輩」

白石に赤也を取られまいと、後ろから
ぎゅっと赤也に抱き付いて白石を睨むブン太。
他の立海メンバーは何も言わないが、
目線では皆が四天宝寺を無言で威嚇していた。

「ほな、立海みんな来たらええ。
人数多い方が賑やかでええしな。な、切原クン」
「はっはいッス!」

白石の提案に、赤也は嬉しそうな笑顔を見せた。
そんなふたりを見て、幸村はまた面白くなさそうに眉を寄せる。

「悪いけど、遠慮し…」

遠慮しとくよ、と白石に対抗意識ばりばりの幸村が言おうとして、
途中でその言葉を止めた。
赤也が不安そうに自分を見つめていたからだ。
寂しそうな、ねだるような目で赤也に見つめられては
幸村も折れるしかなかった。

「…まあ、いいけど」
「!!やったー!幸村部長、大好きッス!」

わーいとはしゃいで、嬉しさのあまり
幸村に飛び付く赤也。
そのことで不機嫌だった幸村も気分を良くしたようだ。
赤也を抱き止めながら、白石を睨み付ける幸村。
そんな幸村にも、白石はいつものように
にっこり笑い返しただけだった。

「ほな、行こか」




さすがに謙也の部屋に立海と四天宝寺レギュラーが
約15人も入れるわけがなかったため、
空いていた少し広めの部屋の絨毯の上に全員が腰を下ろした。

「よっしゃー!ほな、かんぱーい!!」
「「「かんぱーい!!」」」

こうして、端から見ればなんだか奇妙な
四天宝寺&立海パーティが始まった。




「一氏ユウジ、金色小春、モノマネやりまぁ〜す!」
「たるんどるぅッ☆」
「たわけがぁッ」
「ぎゃはははは!似とる似とる!ええで〜もっとやれぇ」

乾杯(ジュースだけど)してからは、
それぞれが好き勝手に過ごしていた。
お菓子を食べたりジュースを飲みながら
寝っ転がっているブン太や、
一氏と小春のモノマネで爆笑している金太郎。
真田は自分のモノマネをされて青筋を浮かべていたが、
赤也が楽しそうにきゃっきゃと笑うものだから
強く出られずにいたのだった。


「切原クン、楽しい?」
「はいッス!」
「そらよかった」

右隣に座っている白石に話しかけられ、
にこにこと笑って返す赤也。
白石はそんな赤也を見て、優しく微笑んだ。


「………気に入らねぇな〜」
「何がだよ」
「見ろよ赤也と白石。ほのぼのと笑い合っちゃってさ」
「ふたりの世界って感じだな」
「大体、白石になつきすぎだっつーんだよぃ。
ダブルス組んだくらいでさ…あ、幸村くん紙コップ握りつぶした」
「目ぇ合わせるなよ、睨み殺されるから」

赤也たちから少し離れたところで、
白石と赤也と幸村の様子を実況中継するブン太とジャッカル。

「おい、白石の奴、赤也の口元についたチョコ
ハンカチでぬぐってやってんだけど」
「…ああ。赤也、真っ赤になっちまったな」
「可愛いな、くそー。白石ムカつく」
「今、幸村の方は見るなよ」



「白石、ほんま切原のこと気に入っとんなぁ」
「金ちゃんに世話焼くときとはまた違う顔ばい。
あんな白石、滅多に見れんから面白かよ」
「やな。せやけど、立海の幸村くんめっちゃ怖い顔してるけど
白石の奴大丈夫かいな。どう思う?光」
「めんどくさいこと聞かんとって謙也さん」

四天宝寺の方でも、謙也、千歳、財前が
白石と赤也の様子を呆れながら見守っていた。

「せやけど白石部長、なんで告らへんのやろ」
「脈ありっぽいのになぁ」
「別に付き合わんでも完全にふたりの世界っすけどね」

小春たちの一発芸を見ておかしそうにはしゃぐ赤也と、
そんな赤也に相槌を打ちながら微笑む白石。
なんだかこのふたりには、他の者が介入する隙がないような
独特なほのぼのとした空気が流れていた。



「切原クン、それ何飲んでんの?」
「あ、これ俺がさっき買ったジュースです!
すげぇうまいんッスよ!白石さんも飲みますか?」
「ん…ほなもらうわ。おおきに」

にっこり笑って赤也から受け取った
紙コップを受け取り、口を付ける白石。

――か、間接ちゅう…!!!
横目でそれを見ていた立海メンバーは、
動揺して思わず自分たちの持っていたお菓子やコップを落とす。

そして、ついにそんな赤也と白石の様子に
幸村の不機嫌オーラはMaxを越えてしまった。

「赤也」
「!幸村ぶちょー。どうしたんすか?」
「そろそろ帰るよ」
「へ?ちょ、幸村部長、待っ…」

赤也の腕を取り、立ち上がる幸村。
赤也は、びっくりしたように目をぱちぱちさせて幸村を見ている。

「明日も早いし、そろそろお開きにした方がいいよ」
「けど、もうちょっとだけ…」
「ダメ。ほら行くよ」
「は……はい」

幸村の不機嫌なオーラを感じとった赤也は、
寂しそうにしょんぼりしながら
幸村に手を引かれて後を着いていく。
そのとき。


「どこ行くん?切原クン」
「!うわッ…」

突然、後ろからぐいっと強く体を引っ張られて
赤也はバランスを崩したが、その人物の腕の中へ
すっぽりおさまってしまった。

「なあ…どこ行くん」
「し、白石さんっ…!?」

後ろから抱き締められながら
耳元で囁かれてびくっと体を跳ねさせたが
その声から、自分を抱き締めているのが
白石であることに気づく。

「え、しっ、しらいしさ…っ」

抱き締められているという状況が理解できず
真っ赤になってじたばた逃れようとするだが、
白石はさらに腕に力を入れて離さなかった。

「し、白石…?」

それを見ていた周りの者や、幸村でさえ
ぽかーんとして白石を見つめている。
白石の表情は、赤也の肩に顔を埋めているため分からない。


「切原クン連れて行かんといて」
「は?」
「俺のやねんから」
「……え?」

そう言って、白石はようやく顔を上げた。

「だーかーらぁー、切原クンは俺のや言うとるやろぉ」
「し、白石…」
「あー?なんやねん」

白石の表情は、いつものような穏やかな優しいものではなく
とろんとした目で威嚇するように幸村を睨み付けていた。
頬も少しだけ赤くなっている。

「げっ!!!」

それを見た謙也が、やばい、と焦り始めた。

「だ…誰や白石に炭酸飲ませた奴!!」
「炭酸?」
「アイツ、炭酸飲んだら酔っ払いよんねん」
「前に一回飲んだときも大変やったばい」
「…そういやさっき赤也が白石に渡したジュースって」

ブン太が転がっている缶のラベルを見ると、
おもいっきり炭酸と書いてある。
赤也が最近気に入っているジュースだ。

「あーあ、俺知らんで」
「酔っ払った白石止めるのは至難の技たい」


「あの、白石…さんっ」
「なに?」
「は、離し…」
「あかん」

そう言って、また赤也をぎゅっと強く抱き締める。
首筋に顔を埋められて、赤也は真っ赤になって硬直していた。
幸村は、最初はぽかんとその様子を見ていたが、
ようやく我に返り白石を睨み付ける。

「白石、赤也が嫌がってるよ。いい加減に離れたら?」
「嫌がってるん?切原クン…」
「え…その」
「こんな真っ赤になって、嫌ちゃうんやろ?」
「!」
「可愛ええな…切原クン」
「やっ」

ちゅ、と首筋にキスを落とすと、
赤也はぴくりと小さく体を跳ねさせた。

今まで傍観していた立海メンバーは、それを見て
我に返ったように赤也を白石から離そうとする。

「白石テメェいい加減にしろぃ!」
「調子に乗り過ぎじゃ。はよ赤也を返しんしゃい」
「嫌や。渡せへん」

しかし、白石は赤也を離す気はないらしく
腕にまた力を入れた。

赤也は、立海メンバーがぎゃあぎゃあ騒ぎながら
白石と言い合っているのをぼんやり聞いていた。
ドキドキと心臓がうるさい。
こんなに近くに白石が居て、自分を抱き締めている。
さっきから顔がすごく熱くて心臓が痛いが、
その理由に気づかないのは、赤也が自分の気持ちに
まだ自覚をもっていないからだ。
大好きな、お兄ちゃんみたいな存在。
本当にそれだけなら、こんなにドキドキしないはずなのに。


「白石、まあ落ち着け。立海さん困ってはるで」
「…うるさいヘタレぇー。しばくぞ」
「だ、誰がヘタレじゃあああ」
「お前が落ち着け謙也」
「ぎゃはは、白石おもろ〜!」
「おい、責任もって止めやがれ。テメェらの部長だろぃ」
「無理無理!あの白石だけは手に負えん」

四天宝寺と立海メンバーが
またわいわい言い争っている傍らで、
赤也をずっと抱き締めている白石と
それを離そうとする幸村が
静かにバチバチと火花を散らしあっていた。

「ふふ、白石もしつこいな。赤也を離してもらおうか」
「なんで?」
「なんでって…赤也が嫌がって」
「またそれかいな。ええ加減、切原クンを理由にするんやめや」
「…何が言いたい?」
「ほな切原クンが嫌やないゆうたら、何も文句ないんか?」
「………」
「意地っ張りやな幸村クンは」
「あまり俺を怒らせるなよ」
「素直になりや幸村クン。ほんまに、可愛ええだけなんか?
ほんまに、大切な後輩ってだけなんか?」
「…お前には関係ないよ」
「大アリや。切原クン、もろてしまうで?」
「そんなことはさせない」
「それは、どうやろなぁ…」
「あの!ふたりともっ」

徐々に険悪になる空気に耐えられなくなった赤也は
なんとか間を保とうとする。

「喧嘩、しないでください…」
「……赤也」

寂しそうに言う赤也に、幸村は
強張っていた表情を緩めさせた。
苦笑しながら、白石の腕の中に居る赤也に近づき
そっと頭を撫でてやる。

「ごめんね、赤也」
「部長…」
「そろそろ遅いし、帰ろうか」

こくんと頷く赤也に笑いかけて、腕を引こうとするが
白石はまだ赤也を離すつもりはないらしい。

「白石、離しなよ」
「………」
「白石」
「…………嫌や」

全く白石らしくない言動に、周囲は
ただ見守るしかなかった。

「…なあ、幸村クン」
「なんだい」
「………あ!!UFO!!!」
「えっ」

突然窓の外を指さして叫ぶ白石に
思わずその場にいた全員が指さされた方向を見た。
しかし、窓の外には何もない。

「しまっ…」
「あー!赤也と白石が居ねぇ!!」

再び目を戻すと、そこに赤也と白石の姿はなかった。

「赤也が拉致られたぁーッ!!!」

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