だいすきな手




リクエスト第八段!
三宅さんからのリクエストです。

真赤で甘。
当サイト初の真赤小説になります*(笑)
ドキドキ!!
それでは、どうぞ!


*******



「赤也」

――ギクッ。

そーっと後ろを振り返ると、
真田副部長が仁王立ちして腕組みしてた。

「赤也、5分遅刻だな」
「えーっとこれは、来る途中に
子供が生まれそうな妊婦さんを助けててぇ…
じゃなくて、自転車に乗り遅れて…」
「赤也!!!」
「ご、ごめんなさぁぁい!!」

今日は日曜日で、朝から部活。
たけど寝坊して5分遅刻してしまった。

「今日の部活が終わって解散後、グランド30週!」
「げぇーっ!!」




「…はぁ、はぁ……」

ただでさえ部活でヘトヘトなのに、
グランド30週だなんて。
真田副部長の、鬼…。
今、20週目が終わった。あとちょっとだ。

校庭にはもう俺以外、誰も残ってない。
丸井先輩が、さっきまで面白がって
俺が走るのをニヤニヤ見てたけど
腹が減ったのか、頑張れよ〜という言葉を残して帰ってしまった。


なんだよ、5分くらい…。
もうちょっと優しくしてくれたって。

言い忘れてたけど、真田副部長は俺の恋人だ。
付き合い始めたのは、つい最近。
まさか付き合ってくれるなんて思わなくて
ふられるの覚悟で、好きですって伝えた。
緊張してすげぇドキドキして、声が震えた。
そしたら、副部長がぎゅって抱き締めてくれて。
俺も好きだ、って。


そのことを思い出して、顔が熱くなった。
俺、ずっと好きだった人と…恋人になれたんだ。

…けど。
付き合い始めたからって、何かが変わることはなかった。
いつも通りの真田副部長で、俺のことも
今までと同じような扱い。
恋人らしい甘い雰囲気とか、優しい言葉とか
そんなのも一切ないんだよな…。


「真田副部長…ほんとに俺のこと、好きなのかな…」

誰も居ない校庭の景色を見てたら、
ちょっとだけ不安になってきたけど
その考えを振り切るように、走るスピードを上げた。




「よっしゃー!30週!!」

やっと30週目を走りきった頃には、
もう空は薄暗くなってた。
すげぇ汗かいちまった。早く帰ろう。


部室に着替えに戻ろうとしたとき、足が止まった。

――電気が、ついてる…?

誰か、まだ残ってる?
まさか。誰かが消し忘れて帰ったんだろう。
俺は部室のドアを開けた。



「!さ、さなだ…副部長」

部室には、恋人の真田副部長が居た。
制服姿で壁に寄りかかって立っている。
なんで、居るんだ?
とっくに帰ったはずなのに…。

「…早く着替えろ。帰るぞ」
「ふ、くぶちょ…なんでこんな時間まで居るんすか?」
「お前がちんたら走っとるからだろうが。たるんどる」


……!
もしかして、待っててくれた…?


「俺のこと…待っててくれたんですか?」
「無駄口叩いとらんで、さっさと着替えんか」

――やっぱり、そうなんだ。

そう思ったらすげぇドキドキした。
こんな時間まで、俺のこと、待っててくれた。
あの真田副部長が。

嬉しくて嬉しくて、俺は思わず
目の前の恋人にぎゅって抱き付いた。

「あ…あり、がと」

胸に顔を埋めてそう呟くと、
真田副部長は俺の頭を黙って撫でてくれた。
言葉はなくても、優しい優しい手。
やっぱり、俺はこの人のこと大好きなんだって思った。



「ねぇ、真田ふくぶちょー」
「何だ」
「俺、手ぇつないで帰りたいッス!」
「…何言っとるんだお前は」
「だ…だって、もう誰も居ないしっ。
俺、副部長と手、つなぎたいんすもん…」
「……」

自分で言ったことが恥ずかしくなって、
語尾が消えそうになった。
俺がうつむきながらそう言うと、
真田副部長は黙り込んでしまった。

――言わなきゃ、よかったかな…。

そう思って寂しくなっていると、
突然手をぎゅっと強く握られた。

「…!」


初めてつないだ手。
俺の手なんかより、ずっと大きくて
あったかくて、大好きな手。

「……へへッ!」

心臓がずっとドキドキうるさいけど、
恋人との優しい時間が、このまま止まればいいのにって思った。


「真田副部長…」
「…何だ」
「へへ、大好きッス!」
「………たわけが」


その後もずっと、大好きな真田副部長と
夜の道を手をつないで一緒に帰った。





おわり


*******


三宅さんからのリクエスト、
真赤で甘でした!
三宅さん、UPするのが少し遅くなってしまって
申し訳ありません;
いかがだったでしょうか*

真赤…アリですね!!!(え)
わたしは実はあんまり考えたことなかったんですが、
書いててふたりを想像したらすごく萌えました。

なんか、このふたりだと
赤也の方から手をつなぎたいとか、言ってほしい。
真田さん絶対に超がつくほどの奥手ですよね(笑)
好きだとかそういう甘い言葉も、めったに言わなさそう。
それで不安になった赤也と、
そんな赤也を言葉には出さないけど
黙ってあったかく包んであげる真田さん。
も、萌えー。(え)

いいですねぇ真赤。目覚めたかも(笑)
ちょいちょい増やしたいと思います!

三宅さん、リクエスト
本当にありがとうございます♪
よければまたお願いしますね。
これからも、出来るだけ毎日更新しようと思うので
このサイトをよろしくお願いします。
まだまだ未熟な文章ですが…。

読んでくださった方々、ありがとうございました!

2012.03.27

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