「半田くんと同じクラスの名字名前…です」
「え、うわ、同じクラス?本当にごめん」
「別に気にしてないよ。私もそんなに目立つ方じゃないから」
「でもごめん。名字名前名字名前名字名前…よし!これで覚えたから」



昨日の半田くんを思い出して、笑ってしまった。正直本当に名前を忘れられていたことに関してはなにも思っていない。多くはないにしても今回が初めて、というわけでもないし。だから半田くんが慌てていて、申し訳なさそうにしてくれて、驚いた反面、なんだか変な気分。でもそんなに嫌な気分でないことは確かだった。


そして気付いたことがあった。私のこの席、人の合間をぬって上手い具合に半田くんを見ることができる。


半田くんは五時間目になると高い確率で睡眠学習をしていた。昼休みは外でサッカーをしていた。音読であてられた時は酷くつっかえていた。松野くんと仲が良かった。


今も半田くんは、こくりこくりと首を動かし今にも寝てしまいそうだった。…かと思えばハッとしたように背筋を伸ばし、周りを確認している。寝そうだったのバレてるよ そう思いつつそっと笑っていたら、周りを確認していた半田くんと目があった。慌てて逸らそうと思ったところで、半田くんが、そっと手をあげて誰にも分からない程度に振ってくれた。


驚いてなにもできなかった私は、授業終わりに何故か足早に教室を出て飲み物を買いに行った。いつも飲んでいるミルクティーのボタンを押そうとしていたのに、私の指が押したのはストレートティーだった。





どうしたんだろう。甘ったるいのは胸の中だけで充分、って微かにそう思った。

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