じりじりと照り付ける太陽。じわじわと浮かんでくる汗。みんみんと忙しく鳴き続ける蝉。暑い、とても暑い。まとわりついてくる、すべてのものが鬱陶しく感じる。 季節は夏真っ盛りと言ったところだ。 冬は着込めば良いけど、夏は脱いでも暑いから嫌いだ、なんて話はよく聞くが、本当にそうだ。 「暑いー、服脱ぎたい」 「脱げばー」 「自分の彼女が露出狂と間違われても良いの」 「他人のふり」 「…むかつく」 家に帰る途中に駄菓子屋さんを見つけて思わず寄り道。半田はお金がないらしく何も買わなかったけれど、私はお気に入りのアイスを、1つ買った。 駄菓子屋さんを出た私達は、夏にすっかり彩られた帰り道を歩いていく。さっきとは違い、アイスがあるせいか気分は軽い、気がする。 「アイスおいしい」 「ちょうだい」 「嫌だ」 「彼氏が熱中症で死んでも良いのか」 「他人のふり」 「…むかつく」 へへっと笑えば、隣を歩いていた半田が急に止まったので「どうしたの?」と聞いた。 「アイス」 「あげないよ」 「じゃあ勝手に食べる」 そう言ったと思ったら半田が「あーん」と口をあけて、私のアイスを食べようとしたので、慌てた私はアイスを遠ざけて急いで自分で食べてしまおうとした。キーンとする、なんて思っていたら「名前」半田の片方の手が、アイスを持っていない方の私の腕を掴んでぐいっと引き寄せた。 「うぐ、んん」 「…ん、このアイス結構美味いな」 いきなりの出来事に驚いて思わず持っていたアイスを落としてしまったとか、やけに上機嫌で鼻歌なんかうたいながら先を歩く半田とか、熱い顔とか、口に残る熱とか、未だに鳴き続ける蝉の声とか、あああもう! 溶け合う 「バカ!」 (20100827) |