円堂くん達が世界へと旅立った。円堂くんだけじゃない、豪炎寺くんだって壁山くんだって、他の学校の人だって、みんなすごいと思う。 イナズマジャパン、つまりは日本代表と言うことだ。 昔からは想像も出来ない程に彼らは大きな大きな存在になったと思う。廃部がなんだとかもうそんなレベルではないのだ。 読んでいたサッカー雑誌を閉じて半田の名前を呼ぶ。 「半田」 御願いだから…そんな辛そうな顔、しないでよ。 「半田」 ふいに腕が引かれて、抱き締められた。すっぽりと、だけど、その時の半田はとても小さいように思えた。 「名前」 ぎゅう 「名前」 ぎゅうぎゅう 苦しいよ 「俺、かっこ悪いよな」 「そんなことないよ」と言いたかったけど半田にぎゅうぎゅうと抱き締められて思うように声が出せない。半田の匂いが頭にまで届いて、なんだかグラグラする。 「俺も世界でサッカーやりたかった」 「う、ん」辛うじて発せられた言葉はなんのひねりもなかった。目の奥から何かが、込み上げてくるみたい。だめ、半田の服が染みになる… 「なんでお前が泣きそうなんだよ」 突然半田の腕から解放されたかと思ったら、ちゅっと軽くキスを落とされた。 「半田が泣かないから、かな」 「なんだそれ」 半田がふにゃっと笑いながら、私の頬に触れ「ほら、笑え」と言ったので、ぎこちなくだけど私も笑った。 「名前、ありがとう」 抱き締められた。また半田の匂いでいっぱいになるけど、嫌じゃない。今度は腕の中でそっと目を閉じて、半田の体に腕を回した。 「今だけ、このままな」 甘える 「俺、明日からまた頑張るから」 (20100826) |