「ねー」
「んー、なに」

俺と半田って似てるかな?なんて急に言われたら驚く…前に、即否定。

「いや、似てない」
「即答かー」
「うん。だって似てないもん」

そうかなあ…なんて大袈裟にへこんで見せる一之瀬が気持ち悪くて読んでいた本を閉じて思わず一之瀬の顔を凝視してしまう。

「あんまり見すぎて、もっと惚れても責任とれないよ!」
「それはない」

そうピシャリと言い切ればちょっと拗ねたような表情になる一之瀬。なんだろう、なんだか、すごく、腹が立つ。

「逆にさ、一之瀬のどこらへんがどう、半田に似てるなんて思えるわけ?」
「そうだなあ、まずは…」
「まずは?」
「髪が茶色いところ」
「うん」
「それと、ミッドフィルダーだっていうこと」
「うん」
「あとは…眉毛がきりっとしてるとこ」
「う、うん」
「目が割と大きいとこ」
「、うーん」
「あと、は…」
「…」

正直、どんなに考えてもそこらへんが限界だと思うのだけれど。

「あの、さ…もっとほら…こう…内面的な部分とか!」
「内面的な?」
「一之瀬にさ、半田のあの癒しオーラみたいなの出せる?」
「出せる出せる!」

そう言って、にぱ。なんて効果音がピッタリの笑い顔をして見せた。

「どう?」
「そんなんじゃ駄目」
「名前厳しいー」
「だから、半田と一之瀬は似てない!」
「ウインクしても、駄目?」
「駄目とかじゃないから!そういうとこも違うじゃん!半田はもっと照れ屋さんだよ」
「えー…照れ屋さん?」
「そうだよっ、赤くなったりして可愛いんだよー癒されるんだよー!」

うーん…なんて唸りながら顎に手を添え考えるようなそぶりをする一之瀬。

「でもさ、」
「え、なに…」

いきなり呟かれた言葉を聞き取れなかった私は反射的に聞き返していた。
「俺は自分が照れて、可愛いとか言われて、癒されてもらうよりも、名前が照れて、名前の可愛い顔で、癒されたいな」
「な、なな」
「やっぱり、可愛い」
「……っ、」

段々と近付いてくる一之瀬の顔に成す術もなく、目を閉じて次の展開を待つ私は耳まで真っ赤なのだろうか。



類似点は、あるか
ないない!




(20100323)

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