変わらずわたしの心臓は手塚くんの傍にいるとドキドキ…なんてもんじゃない、ドックンドックンとそれこそ死んでしまうんじゃないかと思う程に激しく動く。付き合う前もそうだったけど付き合ってからの方が酷くなっている気がしてならない。


空いている手塚くんの手を盗み見る。女のわたしよりも綺麗な手だな なんて考えると恥ずかしくて顔がアツくなってきたので手塚くんの手を見るのはやめた。


手塚くんの部活が終わるのを待っていたので空はすっかり色に染まっていた。「あ、星」思わず口をついて出た言葉。ちょっと子供っぽかったかな?と心配になったけど「本当だ」と言った手塚くんの声が優しくて優しくて、よく分からないけど泣きそうになった。


「手つないでも良い?」今日は激しく動く心臓を無視してみた。壊れたってしらない。「…」何も言ってくれない手塚くんを不安に思っていたら、そっとわたしの右手が握られた。手塚くんの手。憎わたしの心臓はまだ壊れなかった。


手塚くんのことが大好きだなって思ったけど、大好き と言葉にするのが躊躇われた。手塚くんとわたしの周りを流れる、この昧な空気も大好き。


帰り道というのは、どんなにゆっくり歩いているつもりでもあっという間なものだと思う。「ありがと」「ああ」「気を付けてね?」「お前もな」「わたしはすぐ家だよ」なんて笑って言ったら手塚くんも笑っていた。ああきっと、手塚くんの後ろ姿があの角に消えていったなら3秒もたたないうちに会いたくなるに違いない。


「寂しいな」今日のわたしは、2回も激しく動くそれを無視することができた。それでも押し寄せてきた恥ずかしさに負けて「あの」すぐに取り消そうとしたけど「俺も」その言葉を図に、また右手が握られた。手塚くんの手に。でも今度はそこからひっぱられた。ちゅ て音と、かつん て眼鏡があたる音。


「俺も、寂しい」本日3回目、変わらず激しく動くそれを無視しようとしたら今度は頭がぐわんぐわんした。それも無視した今日のわたしは「手塚くん、大好き」なんて言えました。





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20110226
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