俺にはいつも良くしてもらっている先輩がいた。その人は俺が所属するサッカー部のマネージャーだ。


とても優しくて、明るくて、笑顔が可愛い先輩が俺は好きだった。最初はただ人として尊敬とか慕ってるとか、そういう感情だと思った。


でも違ったんだ。


先輩の色んな表情を見てみたいと思ったし、それを俺に、見せてほしいとも思うようになった。…これは恋なのか。


それからはもっと先輩と話すようになった。俺が冗談を言ったら笑ってくれて…すごい嬉しかった。くだらないことでも話しかけたし、先輩の教室まで遊びに行くことも少なからずあった。


「栗松くんと話してると楽しいよ」と言われた時は一日中心臓がうるさかったし、部活でミスもしてしまった。


そんな先輩がある日「栗松くん、私ね、好きな人がいるんだ」と言った。最初は理解出来なかった。更に追い討ちをかけるかの如く「その人もね、私を好きだって言ってくれて…」


正直聞きたくなかった。先輩の話を聞きたくない、なんて思ったのは生まれて初めてだった。


「栗松くん、どうしたの?」先輩が心配している。笑わなきゃ笑わせなきゃ。


「大丈夫でやんす!」
「ふふ、なにその語尾」


俺は先輩が笑ってくれるなら。




「…ていう理由で、語尾にでやんすって付けるようになったんでしょ!」
「なんで勝手に変な設定にしてるでやんすか!!」
「良いじゃん。かっこいいじゃん。女の子はギャップに弱いものだよ」
「みょうじ先輩も、そうでやんすか?」
「うーん、まあね!」




なら、



「それで良いでやんす」






(20100907)
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