「鬼道先輩、好きです」 もう聞き飽きたんだ、こいつの告白なんてものは。そもそも告白と言うものは、もっと恥じらいを持ってするべきではないのか。まあ正直なんでも良いが。 「鬼道先輩、好きです」 こいつはいつから俺の近くにいたんだろう。気付いたら傍にいて気付いたら「好きだ」とかなんとか言っていた。 「鬼道先輩、好きです」 「みょうじ」 俺は気付いたら「みょうじ」と呼んでいた。最初は「春奈の友達」だとかそんな風に呼んでいた気がする。そんなことは忘れたが。 「鬼道先輩、好きです」 本当にいつからだろう。こいつのふざけた告白劇が、毎日吐く愛の言葉が、日常に溶け込み始めたのは。 「じゃあ嫌いです」 「は?」 「鬼道先輩、嫌いです」 「…」 お前が誰を好こうが嫌おうが、別に関係はない。 「鬼道先輩、好きです」 常に冷静でいるよう、視野を広く持つよう、そうでなければゲームメイクなど出来ない。こんなやつに感情を乱される理由は、ない。 「なまえ」 「!、鬼道先輩、好きです」 これは違う。春奈がそう呼んでいたから呼んだだけだ。 「 」 なんだ、急に言いに来なくなるなんて。あの鬱陶しい告白劇はどうした。毎日吐く、同じセリフは。 「おい」 「あ、鬼道先輩」 「よく聞け。」 「なまえ、好きだ」 変化 「鬼道先輩、」 「好きだ」 「はい」 頼むからそんな幸せそうな顔で笑うな。 (20100826) |