彼女の好きなとこ。 例えばふんわりとした笑顔。思わずこっちまで楽しい気分になるような、周りを笑顔で満たすような、そんな笑顔。 例えばさらさらとした髪の毛。自分も男にしてはかなり長い方だけれど、やはり男のそれとは違う太陽にキラキラ輝いてとても綺麗だ。 例えば心地の良い声。彼女が先生に指名され、音読をするなんてことになれば、その時間はとても幸せで今日一日でさえも丸ごと幸せになりそうな気がする。 例えば幸せそうに眠る顔。きっと疲れているのだろう。こっちまで眠くなってしまうのだから困りものだ。でもこの席、彼女の寝顔を盗み見るには特等席なのでとても気に入っている。 例えば食べ物をとてもおいしそうに食べるとこ。彼女に食べられる物達はきっと嬉しいだろうな、なんてそんなこと、本当に思ってしまう。 同じクラスになって、彼女の良さがたくさんたくさん分かった。1つ見つける度に俺の心までなんだか弾んでいくようだ。 ああ、これは、 初めて円堂に会って、初めてサッカーをした時の感情に似ている気がする。わくわくしてキラキラして。 俺は幸せだ、そんなわくわくしてキラキラしている物、人、3つも知ることが出来たのだから。 開け放たれた教室の窓から一陣の風が吹き、俺の髪を揺らした。さて、そろそろ部活に向かわなくては。 …この思いを口に出来る日が、いつか来るのだろうか。そもそも自分という存在を彼女、みょうじなまえに知られているかも定かではないのだから。 モノローグは永遠に 「影野くん。部活、頑張ってね」 「…!」 (20100821) |