西くんから世界が終わると聞いたのは何時だったっけ。西くんがクラスメイトを殺したのは、西くんが私の前からいなくなってしまったのは、何時だったっけ。西くんとあの時約束したのは、何だった?


何も覚えて無いフリをして、自室の窓から真っ赤に染まった空を見ていた。異常事態にパニックになってるお隣のおばさんや泣き喚く近所の子供を見下ろしても、もう、何とも、思わない。
西くんが私に嘘を吐いた事なんて無かった。捻くれた彼なのに私には真っ直ぐだった。だからこうして、世界が終わる。最期くらい会いにきてくれたっていいのになぁ。ぼんやり浮かぶのはやっぱり西くんで、怪我してないかなとか、何処にいるのかなとか、色々考えてしまう。部屋の中が、血で濡れたように赤く染まる。あぁ私、死ぬのかなぁ。



「西くん」

「何?」



とうとう可笑しくなってしまったみたい、幻聴が聞こえた。居る筈もないのに、西くんの声。窓の外を眺めたまま、もう一度名前を呼んだ。



「名前、」



ぎゅ、と。後ろから誰かに抱き締められて、大好きな西くんの匂いがした。でも何も見えなくて、体温はあるのに何もなくて、やっぱり頭可笑しくなったのかなぁと滲んでいく視界の中で考える。ふと背中に伝っていた温度が消えて、後ろでバチバチ、と音がした。



「迎えに来たンだけど」



振り向けば口角を上げてにやりと笑う西くんがいて、私は我慢出来ずに零れた涙を拭って笑った。



「遅いよ、馬鹿」



世界の最後を君と見届けようと思うんだ。








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -