閻魔の声聞きたくなっちゃった、なんて、電話越しに可愛い事言うから少しにやつきながら何かあったの?って聞いた。そしたら彼女は自嘲気味に笑ってなんでもないと答えた。そこから先、何を話したのか覚えていないけれど多分他愛ない会話だったと思う。終わらない会話を締めくくった最後の言葉は愛してるでも大好きでも、有難うでもなく、力の無いさよならだった。そんな感じ、一週間前の話。帰って来た彼女は何も言わない。無言で横たわるのは綺麗な白の上。彼女の母親が啜り泣く声と、それを慰める彼女の父親の声。理解が出来ない俺の脳は未だに思い出の中だ。そういえば去年行った海、また行きたいなんて言ったのは君だった。じゃあ行こうよ、俺が運転するから君は助手席で大好きなあの歌を歌ってて。俺、君のあの笑顔と声が大好きなんだ。ねえ、俺、君に言いたいことあったんだよ。あの時言えなかったけどさ、家で待ってる小さな指輪は君の為に買ったんだよ。なのに何で、何で、何で、何で、何で、死にたかったなら一緒に連れていってくれれば良かったのに。何で、一人で行こうとしたんだよ。俺の事も考えてよ。淋しくて死にそうだよ、いや、いっそ、死んでしまった方がいいかもしれない。君がいないなら、その方が幸せかもしれない。そうでしょう、名前。


花束で飾る








よくわかんね



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