汚い言葉を並べて罵倒を繰り返す度に生意気な顔をして私を見る目の前の男が嫌いで嫌いで仕方なかった。不敵な、余裕そうな笑みを崩さずにニコニコと笑ったまま私の言葉を黙って聞いている。不快だ。一通り言い終わった時に折原は口を開いた。いつも通りのムカつく喋り方で形の良い唇から言葉を紡いだ。


「まぁ、君が俺をどう思っていようと俺には関係ないけれど、静ちゃんの相手ばっかりされるのは傷つくなぁ」


うそつけ。


「例え君が静ちゃんの所有物であったとしても、俺は君を気に入ったから」


うそつけ。


「俺にしなよ」


両手首に嵌められた手錠がかしゃん、と小さく音を立てた。折原の手の中で私の携帯が鳴く。


「もう喋らないでくれる?不快」


できることなら息を止めて。そのまま死んでくれるかしら。






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