特に何か、あったわけじゃないと言う。ただなんとなく、生活における当たり前の事を拒絶した。其れはその内、彼女の中では異常な行動として認識されるようになる。其れを繰り返し繰り返し行って、最後は考えるという事も放棄した。彼女は人間であることを辞めた。人間が好きでたまらない俺は其れが酷く、不愉快で気に入らなかった。人間と言う種を此れ程まで狂おしく想うけれど、彼女はもう人間では無い。そんな君に生きている価値なんて在るのか。そんな事を問うても、彼女は何も言わなかった。例えば俺が彼女を無理矢理犯しても彼女は何も思わない。例えば俺が彼女を殺しても彼女は何も言わない。根本的な人間らしさ、感情が欠落した目の前の女にもう用なんてなかった。ぐ、と首元に突き刺したナイフを引き抜く時に、微動だにしなかった彼女の口角が少うし上がった気がした。

大事だった彼女を殺して気が付いた。俺は彼女に愛されたかった。










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