「なぁ。俺が一緒に死んでやるよ」

「……いいです」

「なんで」

「迷惑かけたくないです」

「…俺、一人じゃ死ねない、怖くて」

「そうですか」

「もしも世界に俺とお前しかいなかったら、一緒に死んでくれんの?」

「そうなったらの、話でしょう」

「…首、絞めたい」

「じゃあナイフでも貸して下さい。刺してあげます」



ナイフが刺さった感触は覚えていないけれど、痛みに耐えるあなたの顔に欲情しました。わたしは頭が可笑しいのです。
痛いですか?と呟いたわたしにあなたは綺麗に微笑んで言いました。



「もっと深く」



苦しい。息ができなくなってきました。
それでも離すまいと握ったナイフにぐっ、と力を込めれば頭上から小さな呻き声と生暖かい水滴が降ってきました。きっとどちらが先に息絶えようとも結末は変わりません。

あなたは泣くのです。












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